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第6話
クリームパンを奢りあった事がきっかけになったのか、勇大は隆志と一緒に昼食を食べる仲になった。
同じサッカー部新入生として唯もそこに加わり、日々行動を共にする事が増え、3人は次第に打ち解けていった。
入部からもうすぐ1ヶ月。
そんな時、5月の連休で合宿をするという事になり、そのプリントが配られた。
「合宿かぁ、行った事ないんだよなぁ…」
部活が終わり、着替えていると隆志がポツリと言う。
「そっか、今回はどう?」
「うん、行ってみたいけど、医者に相談しなきゃダメだと思う」
それから、隆志は今までドクターストップがかかって遠征や合宿に参加した事がない事を話していた。
「オレは何とも思ってないんだけど、短期的でもいつもと違う環境になると発作が起きやすくなるらしくてさ、みんなに迷惑かける可能性が高いからやめた方がいいって言われてきたんだ」
そう話す隆志は、心なしか悲しげな目をしていた。
「そうなんだ」
「さすがにもう高校生だから大丈夫だと思うんだけどさ」
「…あのさ、隆志。何が隆志の為に出来るか分かんねぇけど、俺も唯もいるからもし来られたとして困った事があったら言ってくれよ」
一緒に合宿に行きたい。
勇大はその想いだけでそんな言葉を口にしてしまっていた。
「おう、ありがとな、勇大。オレも合宿に行ってみたいよ。そんなに参加出来ないかもしれないけど」
勇大の言葉に、隆志は笑顔を見せる。
隆志も一緒に合宿に行けたら。
そんな勇大の願いは叶った。
隆志の主治医が薬の携帯と無理をしない事を条件に合宿への参加を許可してくれたのだ。
嬉しそうに報告してきた隆志の笑顔に、勇大も嬉しくなった。
「勇大、唯、合宿に持ってくおやつ、何にする?」
「小学生の遠足かよ」
「だってバス移動の間とか食べたいじゃん」
その日の昼食は、合宿に何を持って行くかで隆志が盛り上がっていた。
(隆志、本当に嬉しそうだ。合宿、何事もなく終わるといいな)
隆志の笑顔に、勇大はそう思った。
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