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第11話
合宿を機に隆志とちょっとだけ進展した勇大。
隆志にリードされる形ではあるものの、充実した日々を過ごしていた。
サッカーの技術においては隆志と唯に遅れをとっていたが、ふたりの力と自身の努力でその差を少しづつ詰めてはいた。
「勇大、学祭どうする?」
「あぁ、クラスの出し物に出るか、学年全体の出し物に出るかのどちらかなんだっけ」
「そうそう!せっかくなら一緒にやりたくない?」
夏休み中の練習を経て、明日から2学期。
上級生から始業式後のホームルームでは学校祭の事を決めるのが例年の事だと聞いたふたりは、部活の帰り道でそんな話をしていた。
「そうだな、一緒にやろうか」
「唯も声かけないと拗ねそうだよな」
「あぁ、確かに」
「オレ、メッセージしとくね」
「おう」
学校から少し離れると、隆志が勇大の腕を掴んでくる。
「勇大、腕少し太くなった気がする」
絡めてくるその腕に、勇大はドキっとした。
「隆志は日焼けしないんだな」
白いままの肌。
日に焼けて黒くなった自分の肌とは明らかに違っていた。
「うん、オレ、焼けても赤くなって終わるんだよね」
乗車駅をふたつ先にして、そこまでの距離を手を繋いだり腕を組んだりして歩くふたり。
最初は人目が気になっていたが、人通りがあまりない道という事を把握してからは割と堂々と歩いていたりする。
「だから勇大みたいな肌、羨ましい」
「そうか?」
「黒い方が男って感じじゃん」
「でも、隆志の顔なら白い方がいいと思うけど……」
その白さに触れたくなって、勇大は立ち止まると隆志の頬に手を伸ばした。
「ちょっ……いきなりされるとめっちゃドキドキするんだけど……」
「あ、ごめん……」
その頬が紅く染まっていく。
「勇大のそういうトコ、ズルいけど好き」
隆志も勇大の頬に触れてきて、誰もいない事を確認するとその頬にキスをした。
「そう言ってもらえるの、スゲー嬉しい」
勇大も同じように隆志の頬にキスをする。
「勇大」
「ん?」
「オレ、めっちゃ幸せ」
そう言って笑顔を見せてくれる隆志。
勇大はそんな隆志を思わず抱きしめてしまっていた。
「……俺も……」
きっと、隆志の事は好きなんだと思う。
一緒にいる事も、こうして身体を触れ合わせる事も、心地よくて離れがたくなる。
でも、勇大的にはタイミングを逃してなかなかその言葉を言えずにいた。
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