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第14話
「もぉっ、あんな人前でキスするとかめっちゃビックリした!!」
劇を終えたふたりは唯にメイクを落としてもらうと劇の出演者用の着替の為に用意された空き教室で着替えていた。
「……ごめん、衣装合わせの時からずっと触れてみたいって思ってて……」
勇大は自分でも信じられなかった。
けれど、その感触を確かめられてすごく満たされた気持ちになっていた。
「絶対周りにキスしたってバレたよ。オレの口紅ついてたし」
「そう……だよな……」
終わった後、劇のメンバーは皆少し動揺している感じだったのはそのせいだったんだろうと勇大は思った。
が、何か言われるとしたら自分だけではないのかとも思った。
「オレは……別にいいけどさ、勇大と噂になったりとかしても……」
「隆志……」
照れながら話す隆志を、勇大は抱きしめずにはいられなかった。
「俺……きっと……お前が好きだと思う……」
「……今更?勇大はオレにベタ惚れでしょ」
ようやく『好き』に気づいた勇大を、隆志は笑ってキスしてくる。
「ね、もう一度言って、勇大」
そう言って、隆志は額を勇大のそれにくっつけてくる。
甘くねだってくる隆志の声。
「……好きだ、隆志」
勇大は胸を高鳴らせながら、隆志のおねだりに応えた。
「ん……オレも……勇大のコト、大好き」
笑顔で頬を紅く染めている隆志。
「化粧してた隆志も綺麗だったけど、俺……普段のお前の顔が一番好きだ」
勇大はそんな隆志の頬に触れながら言っていた。
「ありがと、勇大。オレもそのままの勇大の顔が男らしくて好きだよ」
その後、ふたりは唯と合流して学校祭を楽しんだ。
「勇大、ようやく自覚したんだな。あんなキスして自覚ないならいくら何でも鈍すぎるよって思ったから良かった」
「……なんかムカつくな、唯に言われると」
「ひでぇ!!」
ふたりの行末を案じてくれている唯。
けれど、勇大は照れくさくてその好意を素直に感謝出来なかった。
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