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第15話

隆志との友達以上恋人未満な関係は変わる事なく続き、もうすぐ1年が終わろうとしていた。 冬休みに入り、学校は休みに入ったが部活で会える為、勇大はほぼ毎日隆志と顔を合わせていられた。 クリスマスイブのその日は練習試合があり、隆志は唯と共にスターティングメンバーに入って15分だけ試合に出ていたが、勇大は後半に少しだけ出場出来ただけでほとんどベンチで応援をしている状態だった。 試合が終わると、空は既に暗くなり、夜を迎えようとしていた。 「身体、大丈夫か?」 「うん、大丈夫!前半だけしか出なかったからゆっくり休ませてもらったし」 その限られた時間の中でひとりでハットトリックを決め、チームの勝利に貢献した隆志。 その誰にも止められない走りは精度を増していて、勇大は感服しながらも自分の実力のなさを不甲斐なく思っていた。 「ね、勇大」 「ん?」 「これからイルミネーション見に行かない?今日、クリスマスイブだし」 「あぁ、いいけど」 イルミネーションが見られるのは家から反対側の方向にある港の方だった。 電車に乗り、終点で降りると、そこは同じようにイルミネーションを見に来ていた大勢の人でいっぱいだった。 「勇大、手、繋ご」 「おう」 そうでもしなかったらはぐれてしまいそうなくらいの人だかり。 ふたりは恋人繋ぎをしてそんな中を歩いていた。 「わぁ……」 人混みの中を歩いて、ようやくメインのイルミネーションまで辿り着く。 海側に設置されたツリーと、それを飾るイルミネーション。 「こんな近くで初めて見た。めっちゃキレイ……」 寒さで顔を紅くしながらスマホでそのイルミネーションを撮影している隆志。 「俺もこんな近くで見るの、初めてだ」 勇大も一緒になってイルミネーションをスマホのカメラで撮影しつつ、嬉しそうにイルミネーションを撮っている隆志を撮影していた。 「勇大、せっかくだから一緒に撮ろうよ」 「お、おう……」 隆志が勇大の傍に来る。 ふたりで隆志のスマホを持って写真を撮ったが、その距離の近さにドキドキした。 ふたりでの写真を撮り終えると、隆志がすぐに転送してくれる。 笑顔で写っているふたり。 「一緒に来られて良かった」 それを見ていると、隆志が嬉しそうに言った。 そんな隆志に、勇大は気持ちが抑えられずキスをしていた。 「……バカ、誰か見てたらどうすんだよ……」 「ごめん、そう言われて嬉しくて、我慢出来なかった」 「勇大くんは困った子だなぁ〜。でも、そんなトコも大好き」 照れながら、隆志は勇大に抱きついてくる。 「勇大、あのさ、今日うちの家族、ばあちゃんちでクリスマスパーティーするのに明日の夜までみんないないんだ。だから…うちに泊まって欲しいんだけど…ダメ?」 「えっ、えーと……」 隆志からのいきなりのお誘いに勇大は戸惑う。 「勇大はオレとふたりきりになるの、嫌なの?」 「嫌な訳ないだろ!着替えとか持ってきてないからどうしようかって思っただけで……」 「あ……そっか、そこまで考えてなかった……」 あはは、と笑う隆志。 自分と一緒にいたいという事だけ考えていたのかもしれないと思うと、勇大はすごく幸せな気持ちになった。 「……お前んち行く前に着替とか取りにうちに寄らせてくれるか?」 「うん、もちろん!」 こうして、勇大は隆志と一緒に自宅に向かった後、隆志の家に泊まる事になった。

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