6 / 38

第6話

「ど、どうしたの?」 「とりあえず座って」 僕はテーブルを挟み、兄の前に座った。 「なにかあったか?」 「な、なにかって...?」 まじまじと兄が僕の目を見つめる。 綺麗な瞳だな、と思いながら、もしかしてバレた!? とヒヤヒヤした。 「もしなにかあったらすぐに俺に言うんだぞ」 「わ、わかった」 まさか、ゲイビに兄ちゃん出てるのに気づいて、それで毎晩のようにオナニーしてる。なんて言える訳がない。 その夜、兄はベッドのすぐ下に布団を敷いてくれ、僕はベッド、兄は布団で寝た。 布団キツいでしょ、僕、布団でいいからベッドで寝てよ、と言ったけど... 「寂しいから一緒に寝てよ...」 街灯の灯りが微かな程度の暗闇。 「もう子供じゃないだろ?」 兄はそう言って一緒に寝てはくれなかった。 朝、いい匂いと心地よい音で目が覚めた。 キッチンで兄が朝食を作ってくれてた。 「おはよう」 声をかけると 「おはよう、しっかり眠れたか?」 と振り向き、笑顔をくれた。 朝イチの兄の笑顔で朝からテンションが上がる! 「うん!なにか手伝うよ」 僕はご飯をよそった。 ご飯、玉子焼、ほうれん草の炒め物、お味噌汁。 どれも美味しかった。 「たくさん食べろよ」 「うん」 「...てか、今日、木曜日だよな、学校は?」 「...」 「ま、いっか、たまには(笑)」 そう笑い、兄がお味噌汁を啜った。 釣られて僕も笑う。 やっぱり兄ちゃんが好きだ! 確信に変わった。 「兄ちゃん...」 「んー?」 「僕、さ...」 きょとんと僕を見る。 「僕...兄ちゃんが好きだよ」

ともだちにシェアしよう!