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第7話
「僕...兄ちゃんが好きだよ」
一瞬、兄は固まった。
「どうした、いきなり。俺も好きだよ」
(えっ...!)
「大切な弟だもん、当たり前だろ」
にっこり邪気のない笑顔。
(あれ...いや、それは僕もそうだけど...あれ?)
そうして、昼近くまで兄の部屋。
突然、インターフォンが鳴った。
「お、春樹」
昨日、帰宅した、兄の大学の友人の航太さんだった。
「今日、学校は?」
「...休み」
「いーけないんだ、いけないんだー♪」
航太さんにおちょくられ、トイレ行ってくる、と逃げた。
リビングに戻る矢先...。
2人が互いの腰に腕を回し、キスしていた。
思わず呆然と立ち尽くした。
ふと、航太さんが俺に気づき離れた。
「兄ちゃん...?」
「春樹...」
「さすがにもう言い訳出来ないね」
2人のいきさつを聞かされた。
2人は付き合ってた。
高校の頃から友人だとか、全部、嘘で、バイト先で知り合ったんらしい。
「バイト先って...?」
2人が押し黙った。
「もしかして...ゲイビのバイト...?」
僕が呟くように尋ねた。
「なんで知ってんだ」
「もしかして、春樹もお仲間?」
「お仲間、て...?」
僕が訳がわからないでいると。
「余計なこと聞かないでいいから」
と航太さんを窘めた。
「春樹もゲイか、てこと」
航太さんに言われ戸惑った。
「わからない...」
「わからないって?」
「兄ちゃんしか...その...好きじゃないから...」
兄は頬杖ついて僕をじっと見つめた。
「...やっぱ血、なのかな...」
「血...?」
「俺が言うのもなんだけど、お前には全うに生きて欲しい。女と結婚して家庭持って、子供がいて」
僕は黙り込んでしまった。
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