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第9話

父さんが昨日、出張から帰宅し、僕は犯された。 次の日、久しぶりに兄ちゃんが実家に来た。 「夏樹、久しぶりだな、大学は上手くいってるか」 「それなりに」 僕は夕飯の間、無言だった。 兄に告白し、失敗し、父には昨夜、飲んで酔った挙句、レイプされ...。 僕はさっさとご飯を食べ終え、席を立った。 「なんだ、もういいのか」 父さんに聞かれ、答えずに僕は風呂場に向かい。 部屋に戻った。 しばらくすると、ノックされた。 思わず、体がすくみ、身構えた。 「春樹」 「兄ちゃん...」 「ごめんな、しばらく連絡出来なくて...」 「うん...」 あまり話しがスムーズに進まない。 「またゆっくり話そう」 そう言って兄ちゃん、頭を撫でてくれた。 昨夜のことを思い出し、涙が出そうだった。 けど、言えない。 心配かけたくないし、知られたくなかった。 そうして、兄ちゃんは部屋を出ていった。 漫画読んだりしてたら深夜0時過ぎてた。 飲み物を飲もうと廊下に出て、兄ちゃんの部屋を横切る際、あの声がした。 ...ゲイビ見てるのかな、...でも。 僕は意を決して、ゆっくり兄ちゃんの部屋を開けた。 父さんの上で腰を振る兄ちゃんの後ろ姿があった。 背中がとても綺麗でくねらせたり、多様な動きはいやらしく、思わずしばらく見とれた。 が、父さんと互いに全裸だ。 「兄ちゃん...!」 「春樹!」 僕は昨日の事もあり、ズカズカと部屋に入った。 「昨日のじゃ足りなかったのかよ、父さん」 思わず、そう冷たく言うと 父さんが 「お前も悪くはなかったけどな、まだ今ひとつだな」 と下から兄ちゃんをガン!と突き上げ、兄ちゃんが、あ!と声を上げた。 「春樹に手を出したのかよ、話しが違うじゃねーか!」 腰を掴まれたまま、兄ちゃんが下の父さんを睨みつけた。 「話し...?」 無理やり、兄ちゃんは自分の中から父さんの勃起を抜いた。 2人ともまだイッてないようだ。 床に散らばっていた部屋着を取り、着ると、兄ちゃんは僕の手を引き、僕の部屋にきた。 「ここじゃなんだから俺ん家に行くぞ」 そう言うと僕の服を貸して、と言われ、身繕い、僕もスウェットから着替えた。 2人で実家を出て、タクシーを拾った。 兄ちゃんの部屋に入ると、兄ちゃんはふー、と深い息を吐き、ソファに深く座った。 「どうして言わなかったんだ」 「なにを」 「あいつにやられたんじゃないのか」 僕は黙りこくった。 「おいで」 と言われ、近寄ると僕を隣に座らせ、抱きしめてくれた。 「ごめんな、こんなつもりじゃなかったのに」 兄ちゃんから驚くことを聞かされた。 両親が離婚したのは僕が中1、兄が中3だった。 離婚した原因は本当は父がゲイだったから。 母さんもしばらくは気づかなかったらしいけど、次第に父さんもオープンになった。 ちなみに、僕達は本当は父さんとの子供ではない、と兄ちゃんは母さんから聞いた事があるらしい。 「...てことはもしかして、兄ちゃんの初めて、も父さんだった、てこと...?」 「そうなる...ゲイビの仕事してさ、金貯めて、お前を早くあの家から解放してやりたかったし、あいつ... 親父もお前には手は出さない、て言ってたんだよ、好みじゃないとかで、信じた俺が馬鹿だった、本当にごめん」 僕をギュッと抱きしめた。 顔が見えないけど、泣いてるように感じた。 「初めて、兄ちゃんがよかったな...」 「...ごめんな」 「兄ちゃんが悪い訳じゃないよ」 「たださ、あんなのセックスなんて呼べないよ、好きでもないし体を貸しただけ、ゲイビもそうだけどさ」 「...兄ちゃんの初めて、てちなみにいつだった...?」 「...俺は中1」 僕は金槌で頭、殴られたらくらいのショックだった。 「当時、一緒に暮らしてたのに...気づいてあげれなかった...」 僕がうわ言のように言うと、兄ちゃんが僕の頬を包み顔を上げさせた。 「気づいて欲しくなかったから、お前に手を出させない為にも」 うるうるした。 (僕の為に犠牲になってたんだ...) 「泣くなよ」 兄ちゃんが優しく頭を撫でてくれる。 「さっき、兄ちゃんも泣いてた」 「...」 「ねえ、兄ちゃん」 「ん?」 涙目を擦り、兄ちゃんの目をしっかり見た。

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