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第14話

「昼飯はなにがいい?」 キッチンに立つ、兄ちゃんが聞いてきた。 うーん...と悩み 「素麺」 と言うと 「またか。毎日、素麺ばっかじゃ不健康だろう」 「だって暑いもん」 「まあなあ...だったら、冷やし中華にするか」 「うん!それ賛成!」 昼飯は冷やし中華に決定! あの日のことは無かったことにした。 父さんとのことのように...。 父さんには2人がかりで、新しい嫁に知られたくなかったら、一緒に住ませろ、と脅したんだ。 新しいお母さんは父さんの上司の娘さんだからだ。 バツイチ同士だし、と、ほぼ無理やり再婚になったらしいので。 歩いても10分程度のところのスーパーに着いた。 僕も最近は料理するようにはなったけど、兄ちゃんには敵わない。 2人であれこれ見て回る。 と、その時。 「夏樹じゃん」 と兄ちゃんが呼ばれた。 振り返り、固まった。 「祐也先輩、何してんすか」 「何って買い物に決まってんだろ笑」 プールのトイレで僕を襲おうとした奴だった。 まさか、兄ちゃんの先輩だったなんて...。 「あれ?どっかで会ったっけ?」 僕に気づくなり、少しニヤけてた。 「知りません。人違いじゃないですか」 「かな、悪い悪い」 「弟なんすよ、弟の春樹。春樹、俺の大学の先輩の祐也先輩」 僕は、どうも、と背中を向けた。 この事が後に兄ちゃんの怒りを買う...。 「なんだ、先輩に対してあの態度」 冷やし中華を啜りながら、兄ちゃんが言う。 まさか、あいつが痴漢だ、なんて言えない。 「ごめん、お腹痛かったから」 と嘘をついた。 「そういや、あの後から元気ないな、大丈夫か、具合」 「大丈夫...」 僕は元気が出ず、冷やし中華を啜った。 せっかく作ってくれたのに、動揺のせいか、味がよくわからなかった、ごめん、兄ちゃん。

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