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第16話
慌てて、玄関のドアを開けると、呆然と雄大が立ち尽くしてた。
「寝起き?昼過ぎだけど」
髪の毛に視線を感じ、手ぐしで整えた。
「寝すぎちゃってさ、昨夜ゲームで遅かったせいかな」
(夜の営み。てゲームだけど)
「ふーん、てか、お邪魔しまーす」
実家には何度か来たことあるが、兄ちゃん家に越してから、雄大が来るのは初めてのことだった。
「いらっしゃい、暑かったろ、麦茶でも飲む」
あっという間に身なりを整えた兄ちゃんが雄大に声をかけた。
が、僕には微かにはあはあ息を荒らげてるのがわかる。
大急ぎで身なり整えたんだろうな。
3人でテーブルを囲み、麦茶を飲んだ。
「また髪染めた?」
雄大はすぐに髪を染める。
「夏休みだしさ、アッシュ入れてみた」
グレーと紫が混じったような不思議な色だった。
兄ちゃんがお茶菓子を取りにキッチンに向かった。
「あれから何ともない?」
「あれから?て?」
「プールんとき、トラウマになってんじゃないか、て...」
「なんの話し?」
お茶菓子を持ち、ちょうど、兄ちゃんが戻ってきた。
「別に、なんでもないよ」
と僕は笑ってみせた。
「さて、宿題しよ、雄大」
「もーう?」
と後ろに手を付き、嫌ヅラだ。
「宿題しよう、て言ってきたの、そっちじゃん」
「まさか兄ちゃんと一緒とは思わなかったんだも」
と、紛らわしい言葉に
「俺がいたら煩わしいことでも?」
と直球で兄ちゃんが雄大に聞いた。
「そういう訳じゃ...あ!日本史でわかんないとこあったんだった!」
雄大がはぐらかすようにバッグからプリントや参考書を取り出した。
プリントを見たら...
「俺もやってない方だとは思ってたけど、ここまでとは」
と、言わざるを得ない内容だった。
そうして、互いにわからないところは兄ちゃんに教わり宿題を進めた。
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