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第17話

熱心に宿題していたらカーテンを開けていた空は真っ暗だった。 電気をつけていて気が付かなかった。 「もう8時過ぎてるぞ」 なにか雑誌を読んでた兄ちゃんが僕らに話しかけた。 「大丈夫です、みっちり宿題やるから遅くなるかも、て親に話して来たんで」 と雄大。 「泊まって行っていいですか?」 雄大は兄ちゃんに尋ねた。 「なんで俺じゃなく兄ちゃんに聞くんだよ」 「だってお兄さんのアパートだろ」 確かにそれはそうだ。 「別にいいけど...」 いいのかよ、とツッコミたくなったけど、変に断ると疑われ兼ねない。 結果。 「あー、スッキリした」 と雄大が僕の部屋着を借りて、風呂から出てきた。 その間に兄ちゃん、簡単に夜ご飯作ってくれ、僕も手伝った。 「お前も入ってきたら」 僕も風呂に入り上がると雄大は先に炒飯とサラダ、スープを食べてた。 「俺も入ってくるから、スープは温めて」 と言い残し、風呂に入りに行った。 僕は濡れた髪のまま、キッチンでスープを温め直した。 「髪、乾かしたら?風邪、引くぞ」 「自分こそ」 とテーブルには炒飯とサラダが用意されてた。 スープを手に、テーブルへ。 その間に兄ちゃんも風呂から上がってきた。 ベッドが1つ、布団1つ、ソファが1つ。 兄ちゃんはソファで寝るから、と言い、ブランケットを手にリビングに消えた。 しばらく、どっちがベッドかで言い争ってたら、兄ちゃんが遠くから、 「うるさい...」 と言い黙った。 結局、俺がベッド、雄大はそのすぐ近くの布団に寝ることになった。 電気が消され、しん、と静まりかえる部屋。 知らない部屋みたいだ。 ふと、目を凝らすと人影が動いた。 びっくりして布団を被ると、雄大だった。 「確かめたくて」 ボソッと聞こえるか聞こえないか、の声。 兄ちゃんもさすがに眠たそうだったし、起こしたら悪いし、声が出せない。 雄大に両肩に手を置かれた。 一重だけど、つり目がちな大きな瞳を見つめ返した。 (まさか...キス...!?) とたじろいでいたら、雄大に体ごと、ギュッと抱きしめられた。 プールでの一件を思い出した。 個室から助け出され、僕は思わず、雄大の胸に飛び込み、抱きしめられた、あの感触。 「もう危ないこと大丈夫か」 と小声で聞かれた。 僕は答えれず、うんうん、と何回も縦に頷いた。 「だったら良かった」 と雄大が微笑み、僕の瞼にかかってる前髪を指で払った。 そうして、布団に戻り、背中を向けて眠っている...。 (確かめる...なにを...) もしかして、トラウマが、とか言っていたから、トイレの個室でなにがあったか、雄大なりに心配してくれたんだろうと思う。 あの時、雄大が来てくれなかったら僕は...。 「ありがとう、おやすみ」 と小声で呟き、僕も重たい瞼を閉じた。

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