18 / 38
第18話
兄ちゃんとの夏休み。
兄ちゃんは居酒屋でバイトしてるので、なかなか時間が合わない。
18時から23時までの勤務。
普段は週3日程度だったが、最近は夏休みで店も繁盛期らしく、週4、5日、てこともあった。
「つまんないなあ」
「なにが」
「兄ちゃん、バイトばっかだし」
兄ちゃんはテーブルで課題しながら、昼ならいるぞ、と言った。
突然、兄ちゃんのスマホが鳴った。
はい、と兄ちゃんが電話を出た。
「祐也先輩、どうしたんすか」
その名前にドキッとした。
「や、その日、バイトで、居酒屋の...はい、はい、わかりました」
と、兄ちゃんが電話を切った。
「...なんて?」
「んー、夏休み、飲みでも行かないか、て誘われただけ」
「ダメだよ、行ったら」
課題の手を休め、僕を見つめ、ニヤッとした。
「もしかして、嫉妬?」
「違うし」
「大丈夫だよ、どちらにせよ、バイトで無理、て断ったし」
「...行きたかった?」
「別に」
と言うと、兄ちゃんは再び、課題を始めた。
「今日もバイト?」
「だな、夕飯、作っておくから」
そうして、また寂しい夜を過ごす羽目になる、筈だった。
23時過ぎ、ソファに横になってたらいつの間にか眠っていたらしい。
「こんなとこで寝てたら体痛めるぞ」
と兄ちゃんの声。揺り起こされて目が覚めた。
「おかえりなさい」
と瞼を擦りながら、兄ちゃんを見た。
「おはよ、て、もう夜か」
珍しく航太さんが来ていた。
僕はすぐに目が冴えた。
「居酒屋に飲み来てたからさ、一緒に飲むか、て話しになって」
と兄ちゃん。
航太さんのとこに行くと酒飲んでた。
「そう目くじら立てんなって、何もしやしないから」
航太さんが笑った。
「どうだか」
と、僕は口を尖らせた。
いつしか、兄ちゃんを他所に僕と酔っ払いの航太さんはお喋りに花を咲かせてた。
そして、先に航太さんが寝た。
「ったく、飲みすぎ」
と、兄ちゃんが航太さんにブランケットを掛けた。
ともだちにシェアしよう!