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第19話

起きると、キッチンでエプロン姿の兄ちゃんが料理していた。 時計見たら、朝の9時。 ソファでは航太さんがいびきかいて寝てた。 兄ちゃんに後ろから抱きつき、おはよう、と言うと、おはよう、と返ってきた。 「ソファのうるさいの起こしてきて、もうすぐ出来るから」 (うるさいの...笑) 僕はソファのうるさい物体を揺り起こした。 「うーん...」 「酒臭っ」 なんとか、航太さんを起こし、3人でテーブルを囲んだ。 トースト、目玉焼き、サラダ、スープだった。 「いただきます!」 食べ終わると、 「なにか困ったことあれば言えよ、俺も言うし」 と、航太さん。 「航太さんの話しは別に聞きたくないよ」 「ひっでー」 それから、聞いてもないのに、航太さんが今、気になってる子についてノロケ始めた。 「すっげ、可愛いの」 「でも付き合ってもなく、好きとも伝えてないんだろ」 兄ちゃんが言うと、うっと言葉を詰まらせた。 「いいの、今は」 と、航太さん。 「じゃ、そろそろ帰るかなあ」 「さっさと帰れ」 と兄ちゃん。 さすがに可哀想に思い、 「気をつけて帰ってね」 と声をかけたら、サンキュ、と航太さんが帰っていった。 夏休みも終盤。

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