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第32話

翌朝、夏樹達が買って来てくれたレトルトのお粥を温めてた。 「兄ちゃん...」 布団で横たわっていた雄大が目を覚ましたらしい。 「汗かいたろ、服を脱げ」 「服を?」 「体拭いてやるから着替えろ」 「自分でするからいい...」 「春樹が着替え持ってきたから、喉乾いたろ」 とポカリを渡した。 ヨタヨタと服を着替え始める雄大にポカリを渡した。 「もうすぐお粥、出来るからプリンかヨーグルトでも食べるか?」 両方を雄大に渡した。 「食べたら薬飲めよ」 「うん...」 着替えた雄大がポカリをぐびぐび飲み、ヨーグルトを食べた。 熱もあった訳だし昨日のことは覚えてはないだろう。 「兄ちゃん...」 お粥を皿によそっていると、 「昨日のこと、覚えてる?」 と尋ねてきた。 「どうだったっけ、それより、ほら風邪薬飲めよ、夏樹達が心配して持って来てくれたやつ」 風邪薬を手渡すと、おでこに手を当てた。 熱はだいぶ下がったみたいだ。 「もうさ、ここ引き払ってよ、ゲイビも辞めてよ」 「いいから今は。自分の体調だけ考えろ」 そう言うと、雄大に詰め寄られた。 「辞めたくないんだ、兄ちゃん」 俺はなにも言い返さなかった。 「俺、兄ちゃんが好きだよ、気づいてなかっただろうけど」 「キスしたら怒ったじゃん」 「そりゃ、俺を好きかどうかもわからないのに。怒るよ」 はあ...とため息をついた。 「俺はお前が思ってるような兄貴じゃないよ、最低最悪」 「そんなことくらい知ってるよ、兄弟だし。多分、あの人より...和樹...だっけ」 「俺は...」 こんな時になり怖気付いてる。 「戸惑ってる、正直」 「なんで」 玄関のチャイムが鳴り、出ると春樹だった。 「雄大、体調はどう?」 「昨日はありがとう、色々買って来てくれたんだろ」 「うん。心配で様子見に来た」 これ、と春樹がポカリやプリンやお粥やスタミナドリンクとか買って来てくれ、雄大に渡してくれた。 雄大はスタミナドリンクを取り出すと一気に飲み干した。 「だいぶ、元気になったみたいだね、良かったあ」 「母さんにも連絡入れとかないとだな」 「僕、連絡しといたよ、航太さんのアパートで雄大、寝込んでる、て」 「さすがだな、春樹」 春樹の頭を撫でた。 雄大がムッとしたのが伝わった。 「春樹を好きになっても無駄だよ」 「夏樹と上手くいってんの知ってるわ。お前はバカか」 「それが...」 申し訳なさそうに春樹が呟いた。 「兄ちゃんと喧嘩した」

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