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第5話
ナカノさんは朝の8時には家を出て仕事に行き、早ければ18時、遅くても20時までには戻るとのこと。
「人間って大変だねえ」
「そりゃ生きてく限りはね」
「ふーん」
「土日は休みだから...えーと名前は...」
「クロ。クロ、て呼ばれてる」
「...もしかして、思い出した?」
「いや、ふと、いいなあ、て今思いついただけ」
布団が1つしかない、との事で、別にいーよ、て一緒に眠った。
変わらず丸まって。
そして、朝。
「...クロ、クロ!」
「んー...なに...まだ眠い...」
掛け布団を引っ張り、自分に掛ける。
「クロ、耳!あ、待て...尻尾!?」
え...?
眠気眼で頭に手を置いた。耳。
暑くていつの間にかスウェット脱いでたらしい、お尻にも懐かしい触り心地...
長い自慢の、自慢だった尻尾。
「あっ!」
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