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第17話
リョウとカズヤがそれぞれ、車を出してくれ、リョウの車に俺、ヨウタ、マコ、シュン。
カズヤの車にタクマ、トウマ、エイジ
父さんは自分の車で。
キョウスケはもうスカウトで売春宿にはいない。
みんなに話してはいけないのだけど、父さんは折半まではいかないが、指名受けたぶん、それぞれのしばらくの給与は貯めてある。
それを使い、また部屋を借り、免許を取ったりで、そしてまたスカウトをして給与を貰う。
スカウトになると歩合制になるから、みんな血眼らしい。
車のウィンドウから見る景色は新鮮そのものだ。
物心ついた時にはマンションしか知らなかったから。
父さんに誘導され、リョウとカズヤは車を走らせた。
コインパーキングに3台、車を停め、繁華街を歩いた。
俺は雑誌を持っていたが、置いてけ、とリョウに言われて、車に置いていった。
見るもの聞くもの、嗅ぐもの、全てが新しく、清々しい!
早速、父さんを先頭に一軒のラーメン屋に。
「これ、なんて読む?」
タクマに聞かれた。
「バカにしてるなー。これくらい...ラーメン...」
以上、読めなかった。
「一連、いちれん、な」
「なるほど、なんて意味?」
「意味までわからん」
と、10人いるので、車と同じく、BOX席に二手に別れた。
みんな、チャーシュー麺を頼んだので同じのにした。
クンクン、独特の匂い、嫌な匂いじゃない。
「カイ、ほら」
と、シュンが水をくれた。
「ありがと」
しばらく待つと、ラーメンが運ばれてきた。
目の前のシュンとマコの食べてる姿をしばらく眺めた。
「うまっ」
とマコ。
「美味いな」
とシュン。
隣のリョウが
「左でこう、レンゲでスープ飲んで、右でラーメン啜るんだよ」
と教えてくれたが、上手く両手を使えず、右で麺を食べ、レンゲに持ち替えてスープを飲んだ。
「どう?美味い?」
複雑そうな面持ちで、目の前のシュンが聞いてきた。
「うん...!美味しくてびっくりしてる」
生まれて初めて食べるラーメンの美味しさに驚愕した。
ラーメンを食べると、先に帰るぞ、とカウンターで1人黙々とラーメンを食べていた父さんは全員分を支払い、
「ちゃんと連れ帰ってこいよ」
と出ていき帰っていった。
「せっかくだし、少し歩こうよ」
とマコ。
みんなが賛成した。
耳元でリョウが、
「今がチャンスかもな」
と呟いたが、
「ダメだよ、みんなを犠牲にする」
と跳ね除けた。
こっそり2人で逃避行なんて、無理な話だし、みんなに迷惑をかけるのが目に見えてる。
ラーメンを食べ終えると、みんなで変わる変わるメンバーを交代し、プリクラを取ったり、UFOキャッチャーてのもした。
一部はゲームしてたけど、俺はよくわからず眺めてた。
「なんかいい香り...」
「クレープじゃん?」
誰かが言い、カズヤが人数分、クレープを買ってくれた。
苺と生クリームのにした。
めちゃくちゃ美味しかった。
が、食べ方が難しい。
「鼻、ついてる」
エイジに指摘され、
「鼻はそりゃ付いてるよ」
と言うと、一瞬、間を置いて、みんなに爆笑された。
生クリームだよ、とリョウが指で掬い、舐め取った。
あとは本屋を見たい、と言うメンバーに着いていき、リョウが買ってあげていた。
そうこうしてるうちに日が暮れ始めた。
「そろそろ帰るか」
リョウが言い、
「うん」
と頷いた。
「また来たい?」
とシュンとエイジに聞かれ、
「来れたら来たいかな、このメンバーで」
と答えたら、2人が微笑んだ。
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