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第19話
みんな、思い思いにセイヤさんから受け取ったお菓子やジュースをカーペットに置いてUNOしていた。
ヨウタが呼ばれたので止まったみたい。
「カイも食べたら?」
とマコに言われた。
「カイに持って来たんだろうけどな笑」
と、トウマが口を挟んだ。
「みんなで食べて、て言ったじゃん」
マコがいちご大福食べていて、苺の甘い香りがした。
「それ、まだある?」
「いちご大福?もう無いよ」
マコは平然と言うと、半分になっていたいちご大福を1口で頬張った。
頭の中、ガーンと音がした。
「カイの分も取っといて、て言ってたのに」
とエイジ。
「何が好きか知らないし。わざとじゃないし」
と、マコが紙パックのオレンジジュースのストローを音を立て飲んだ。
「はい」
とシュンが飲むヨーグルトを渡してくれた。
「いつもこれ飲んでたし、確保しといた」
「ありがと」
と照れながら言うと、マコが
「浮気者が」
とプイッと横を向いた。
「や、そういう意味じゃなくって」
とシュンが窘める。
俺は2人のやり取りをボーッと眺めながら
さっき、自分のどうでもいい会話でセイヤさんを帰したことを思い出した。
(普通なら怒るか黙らせるよな...)
というか、セイヤさん以外で、あんなヘマはしない。
ヨウタのあんあん可愛い声を聞きながら、やらかしたなあ、と痛感した。
「カイ」
数日後、みんなでトランプ中、カズヤに呼ばれて、期待を胸に振り向いた。
セイヤさんでは無かった。
いつもよく指名してくれる常連客。
「久しぶりです、待ってたんですよー」
変わらず営業スマイルで自らくっつき、部屋に入った。
騎乗位で腰を振り、あんあん言いながら、頭の中は何故か不思議と冷静だった。
セイヤさんを待ってる自分がいた。
「また来てね」
と、帰り際、背伸びし、相手の首に腕を巻き付けてキスをした。
この人もよく差し入れをくれる、みんなに手渡すと、やった!とみんなが喜ぶさなか、俺は顧客ノートを付けた。
はあ...と書き終わり、
「カイも食べなよ」
と珍しくマコに勧められ、袋からバウムクーヘンとカフェオレを取り出した。
「なにか悩み事?」
と、マコがなにかストローで紙パックのジュース飲みながら聞いてきた。
「別に悩みとかじゃないよ」
と俺は袋を開けてバウムクーヘンにかぶりついた。
「そっちこそ、どう、最近シュンと」
シュンはソファで3人で先日買って貰った漫画を読んでた。
「どうって別に、変わりないよ」
そう言うとチョコを口に放り込んだ。
「たださ」
「うん」
「シュンとエッチしたい」
「したら?」
「まあ、そうなんだけど、お互い疲れてたり、毎日」
「仕事でやってるしね、お互い」
うん、とマコがみんなで食べれるよう広げてあるポテチを摘んだ。
はあ...とまたため息。
「やっぱ、悩んでんじゃん」
とマコ。
「悩んでないから...それにマコはすぐ言いふらす」
そう言うと、ごめん、と珍しく謝った。
「悪気はないんだ、本当。性格、ていうか」
わかる気はした。
「俺さあ、友達いなくって、お調子者とかでさ、ここみんないい奴ばっかで、逆に調子乗ってる、かも」
とマコが頬杖をついた。
「シュンはさあ、学校でもみんなの人気者、頭いいし、スポーツ万能だし、性格いいし。
俺と付き合って、俺、シュンをダメにした」
「そんなことはないんじゃない?」
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