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第21話
それから、最初はエイジ、ヨウタ、の順番で買い取りされて行った。
買い取り、とは、売春宿でのレンタルではなく、数百万、人によっては数千万で買い取られる。
俺も昔、何回か話しがあったが断った。
断ってはいけないが俺はレンタルでも売れ行きがいいので例外だった。
残っている、俺、トウマ、シュン、マコ、リクとで営業中、トランプしながらお喋りタイム。
「あいつら、どうしてるかなあ」
トウマが言った。
「キモイおっさんのおもちゃにされてそう」
マコが口を尖らせ、俺からカードを引いた。
カズヤはスカウトでしばらくいない。
受付のリョウがカイ、と俺を呼んだ。
セイヤさんだった。
俺は自然と笑顔になり、立ち上がった。
「あっ、あっ...」
セイヤさんとのセックス、好きだ。
他のお客さんとのセックスも気持ちいいけど。
気持ちいいだけじゃない、なにかがある。
行為の最中もたくさんキスしてくれるからかな。
セックスを終え、2人でベッドに横たわった。
俺は2人買い取られたことを話した。
「2人が何ともないといいけど」
「相変わらず優しいんだな、カイは」
と頭を優しく撫でられた。
「優しくなんかない」
と俺は言った。
「みんながいないと寂しくて。買い取られなきゃ良かったのに、て思う自分がいます」
セイヤさんが真剣な顔になった。
「延々、売春で人生を終わらせるよりいいんじゃないかな」
多分、その通り。
「だけど、みんなが幸せでいるかなんてわからない。他の子も言ってたし、おもちゃにされてるんじゃ、て」
カイ...。
とセイヤさんが俺を抱きしめた。
その時、ノックされた。
服を着て、2人で部屋を出た。
入れ替わりでトウマと客が入っていった。
もう1部屋はリクが接客中らしく、必然とシュンとマコの3人でババ抜きを再開した。
セイヤさんがみんなに渡していたお菓子やジュースを食べたり、飲んだりしながら。
それからというもの、買い取りラッシュが続き、父さんは喜んでた。
父さんの部屋に2人きり。
札束が部屋に山のようにあった。
俺とマコしかもうこの売春宿にはいない。
上機嫌の父さんに札束の中で抱かれた。
閉店後だった。
父さんと眠っていると、喉が乾き、ドアを開けてリビングに出たら、マコが薄暗の中、座っていた。
近づくとマコが小さく泣いていた。
彼氏のシュンも買い取られ、無理もなかった。
マコを抱きしめた。
マコも俺にもたれかかって泣いた。
「シュン、大丈夫かな、変なことされてないかな」
以前、同じセリフをマコに聞かれたときは、変なやついた試しはないから、と言えたのに、なにも言えなかった。
泣き疲れて、マコが眠り、俺もマコの隣で眠った。
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