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第11話
「フラン?」
お前は何を言っているんだ?
それは思いもよらない、俺にとってあり得ない言葉だ。
だからおそらくは何かの聞き間違いだろう。
ならばフランはいったい何を言ったのだろうか。
フランを見つめると、目から大粒の涙が一粒落ちた。
やがて目映いほどの光を放ち、輝く。
そして、それは――。
ああ、嘘だろう? 純白の真珠へと変化したんだ。
「真珠......まさか、フラン?」
俺に恋をしてくれているのか?
「お願い、僕を邪険にしないで、傍にいさせて。この傷を介抱させて。お願いだから……」
そう懇願するフランの眉尻が垂れ下がっている。
目からはまた、涙がこぼれ落ちる。
その、どの涙も、大小さまざまな美しい真珠へと変化する。
「フラン......」
彼女が言ったとおり、俺とフランは両想いだったのか……。
実感すると、胸の奥がじんわりとあたたかくなった。
こんな気持ちは生まれて初めてで、正直戸惑ってしまう。
だが、感じているその戸惑い以上に、フランが愛おしい。
「............ん」
気がつけば、フランの頬に触れていた手は彼の後頭部へと移動し、自分の方へと引き寄せていた。
俺とフランの唇が交わる。
「異形の俺でもいいのなら......。愛している、フラン」
赤い唇を目の前にしてそう言うと、フランの頬はいつも以上に赤く染まる。
「クライド......。異形じゃないよ、だってクライドはすごく綺麗だもん。愛してる」
今度はフランからキスをする。
何度も、何度も、啄むようなキスを――。
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