18 / 56
和臣による恭介への聖指導!?
高校の卒業式に僕から告白して両想いになったというのに、あれから恭ちゃんは手を出してこなかった。
大学が別々になってから逢う機会がぐっと減ってしまったけれど、お互い都合をつけてデートをする時間が、とっても幸せなひとときになった。
離れていた現実を埋めるようにどちらともなく口を開き、目と目を合わせて微笑み合って――それはそれは、濃密な時間を過ごしているといってもいい。
だけど僕としてはそこに躰同士を触れあわせる、濃厚なスキンシップを希望していたりする。勿論、手をつなぐ以上のことだ。
勇んで恭ちゃんにおねだりしたら、キスをしてくれた。してくれたんだけど、触れるだけの軽いもので……。
DEEP (* ̄(^ *) KISS!
こういうのがしたいんだと言ったら、困った顔してちょっと待ってくれと懇願された。
卒業式のときは頬にされたキスに驚いてしまった僕を、桜の幹に追い詰めて唇にキスをした大胆な恭ちゃん。そんな彼が躊躇するなんて、何だかおかしい。
こんなことに戸惑っていたらこれから先、すっごくHなことができないんじゃないかって心配になってしまった。
ウヒョー(;~Q~)♂(~Q~;)ペロリンチョとか、それ以上のことができる気がしない……。
「恭ちゃん。ゴールデンウイーク暇だよね? 僕、恭ちゃんの一人暮らししているお家に、泊りで遊びにいくから!」
強引ともいえる作戦を決行すべく、いきなりメッセージを送った。そしていろんなものを引っさげて、突撃お宅訪問してやったんだ。
「和臣、俺のメッセージを読んでいないな? いきなり来られても困るんだって」
恭ちゃんが一人暮らししているところは、単身者向けに建てられた新築のマンションだった。バイトをして生計を立てようと考えていた恭ちゃんとしては、もっと安いアパートに住みたかったみたいなんだけど、お母さんが猛反対したこともあり、渋々ここに住んでいるとのことだった。
「いきなりじゃないじゃん。ちゃんとメッセしたもん。どーしてここに僕が来ちゃダメなのさ?」
困った顔した恭ちゃんを押しのけて、堂々と中に入ってやった。
一人暮らししている男の部屋とは思えないくらいに、整理整頓が行き届いている様子は、僕の中にさらなる疑問がわいてしまった。
「恭ちゃんはイケメンだから、大学で早速彼女をゲットしたんでしょ。その彼女が毎日顔を出すから僕に会わせないようにすべく、ここに来ることを拒否ったね?」
背負っていたリュックサックを下ろして、部屋の中を見渡しながら疑問を口にすると、恭ちゃんは眉間に深いシワを寄せて心底面白くない顔をした。
「和臣が好きなのに、わざわざ彼女なんか作らないって。2人きりになりたくなかったのは、あれだ……」
リビングの中央で突っ立っている僕に、なぜだか距離をとっている恭ちゃん。玄関の扉の前から、一歩も動いていなかった。
「あれって何なのさ?」
「怒るなよ。俺としても、何て表現したらいいのか分からなくて困ってるんだ」
腰に両手を当てて苛立ちをアピールしていると、着ているトレーナーの裾を掴んでモジモジする姿に、イライラがより一層募った。
優柔不断な僕の役どころを恭ちゃんがやったら、ますます話が終わらないじゃないか。ここはひとつ自分の気持ちをハッキリ伝えて、恭ちゃんに動いてもらわねば!
扉の前で立ちつくす恭ちゃんに近づき、困惑の表情を浮かべる顔をしっかりと見上げてやった。
「あのね、今日泊まりに来た目的は、恭ちゃんとひとつになりたくてやって来たんだ。僕としてはこのまま、キス止まりじゃ物足りなくて」
言った途端に恭ちゃんは顔全体を赤らめさせ、口元を手で覆い隠しながら視線を泳がせた。
「……俺としては、もう少し時間をかけた方がいいと思って」
「さっきも言ったでしょ、物足りないって。僕の中に、恭ちゃんのを挿れて欲しいんだ」
「いっ、挿れっ、ブッ////」
(もしかして恭ちゃん、学校の勉強ばかりしているせいで、こういう刺激の強い話の免疫がないのかな)
「恭ちゃんが僕のを挿れてみたいと思うなら、してあげてもいいよ。やってみる?」
まさか自分から、やってみるなんてことを言うとは思いもしなかった。いつもなら恭ちゃんが投げかける言葉だから。
ともだちにシェアしよう!