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愛する想いを聖夜に込めて――17

 明るく振る舞う従業員の笑顔に、ふたりはそれ以上、突っ込むことはできなかった。 「あの、予約について聞いてもいいですか?」  榊が訊ねると、従業員はレジのカウンターの下から、分厚いファイルを取り出した。 「ご予約については、来年のクリスマスまで、びっちり埋まっている状態です」 「ということは、年末は空いているんですね?」 「恭ちゃん?」  弾んだ声を聞いた和臣は、首を傾げながら榊を見上げた。 「年末の31日については、残りおふたつとなっております。いかがなさいますか?」 「二人分の予約をお願いします。今日と同じコースメニューで」 「かしこまりました。今日のご予約は…マイスターフェニックス証券様でされておりますね」  従業員がファイルを捲り、本日来店している客の情報をきちんと確認している間に、和臣は榊の耳元で囁きかけた。 「恭ちゃんってば、来年の予約をしちゃうとか、いったいどうしたの?」 「年末の楽しみに、仕事が頑張れるかなぁと思ってさ。クリスマスに予約できなかったのは、すごく残念だけど」 「お客様、申し訳ございません。お手数ですが、住所とお名前の記入をお願いいたします」  カウンターの上に出された予約表に、榊は丁寧に書き込みしていった。 「予約から3日前のキャンセルが50パーセント、前日のキャンセルは80パーセント、当日のキャンセルについては、100パーセントのお支払いをお願いしております」 「わかりました。忘れないように、和臣も覚えておいてくれよな」  書き物を終えた榊が促すと、和臣は満面の笑みを顔に表しながら頷く。 「それと予約の前金として、五千円をお願いしたいのですが」 「それ、僕が払う!」  元気よく手をあげてアピールした和臣に、榊と従業員は目を丸くして見つめた。 「今年は恭ちゃんの仕事の頑張りで、ここに来られたわけでしょ。来年は僕が頑張って、恭ちゃんを奢りたいんだ」 「わかった。和臣に奢られることにするけど、頑張りすぎて躰を壊すなよ」 「おふたりとも、仲が大変よろしいですね」

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