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榊の看病
日頃から仕事の忙しい榊。その無理がたたったのだろう、珍しく風邪をひいて寝込んだ。
こんなときだからこそ、恭ちゃんをとびきり甘やかしてあげるかなんて思い至った和臣は、喜んで仕事を休み、榊の手厚い看病にはげむ。
「恭ちゃん、なにかしてほしいことはない?」
枕元で榊にして欲しいことをいちいち聞いて、できる限りの要望を和臣は叶えてあげた。その中のひとつ――。
適度に高い熱に浮かされた榊は息を切らしながら、やっとのことで告げる。
「和臣に……手を握って欲しい」
鳶色の瞳を潤ませて懇願してきた瞬間、和臣は思わずきゅんとした。普段は見ることのできない健気さを醸した、とびきりかわいい榊の姿を目の当たりにして、頼まれたことを進んで実行する。
布団から榊の右手を拝借し、しっかりと指を絡めて、恋人繋ぎをしてあげる。ついでに早く風邪が治りますようにと、手の甲にくちづけを落とした。すると――。
「和臣、勃っちゃった……」
なんて正直な感想を述べられても、病気の榊に和臣は盛ることは絶対にできない。ゆえにこのあとなされた際どい要望の数々を、泣く泣くすべて拒否したのだった。
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