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すれ違う笑いのツボよりも愛は深く――4

 画像付きで調べてみたら、芸人たちが身に着けている服は当時を呼び起こしそうなほどそっくりそのままで、呼び名も役どころと同じになっていた。 「恭ちゃんがさっき教えてくれたように、ブラインドを持ってる人がボスで、三つ揃いのスーツを着て銃を提げた姿の人がマカロニだったりする?」 「正解。よく分かったな」 「だって……。ほら」  和臣が指を差した先には人物紹介をするためなのか、ちょうどその芸人の顔がアップで映し出されていた。 「ぶっ!」  思いっきり俺が吹き出したのに、和臣は平然としていられるのが謎すぎる。周りにいる怪しげな格好をした芸人たちも、マカロニの姿を見て大爆笑しているというのに――。 『笑っちゃいけない』というタイトル通りに、笑ってしまったら罰を課せられるのがこの番組の見どころだった。特大のハリセンを持った黒子が数人現れて、笑った芸人のお尻を次々と叩いていく。 「和臣、可笑しくないのか?」  ひとしきり笑ってから訊ねてみると、どこかうんざりした表情で俺を見上げた。 「鼻の穴に、マカロニを突っ込んでるだけじゃないか。面白くないよ」 「顔だけ見たらそれで終わりだけど、三つ揃いのかっちりしたスーツを着こなした格好だからこそ、そのギャップで笑えちゃうだろ」  ここぞとばかりに笑ったせいで、涙がじわりと滲んできた。それを拭いながら話しかけた途端に、首を横に振って口をへの字にする。和臣なりに面白くないことをアピールする様子で、徐々に落ち着きを取り戻した。 「まぁ他の芸人が面白いことでもやったら、鼻に突っ込んでるマカロニがどこかに飛ばされちゃうから、面白いのは今だけだろうな」  ぼそっと独り言を呟いた瞬間に、絶妙なタイミングでマカロニの鼻からマカロニが噴出された。  理由はすぐ傍にいたダメージジーンズを履いたジーパン刑事(デカ)が、被っていた帽子を落としたので屈んでそれを拾おうとしたら、激しくダメージ加工されているお尻の部分が音を立てて大きく破けたのである。 「俺が言ったタイミングでマカロニが外れたのもウケたけど、あのジーパンはありえないよな」  またもやお腹を抱えて笑う俺を他所に、和臣は笑わずに白い目でテレビを見続けた。

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