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すれ違う笑いのツボよりも愛は深く――5

「ダメージジーンズを履いてる時点で、どこかが破けることくらい予想できちゃうでしょ。この番組はお尻を叩くんだから、その部分にあえて細工するんじゃないの」 「確かに! すごいな和臣」 「テレビに出てる芸人と一緒に笑える恭ちゃんの素直さが、逆に羨ましいと思うな」  繋いでいる手を意味なくブラブラさせてから、すりりと頬擦りした和臣の顔が可愛くて、思わず腕を引き寄せかけた。 「んっ? 恭ちゃんどうしたの?」  少しだけ近づいた上目遣いの和臣の顔は、不思議そうに自分を見つめる。 (臣たんの潤んだ瞳が誘っているように見えるのは、俺の気のせい……)  そう言い聞かせて、繋いでいる手をぱっと離した。 「何でもない。和臣ってば、笑いに対する読みがずば抜けてるよな」 「それ以上に、恭ちゃんについてもいろいろ読めちゃうよ」  ふふっと小さく笑うなり、放した手をふたたび繋ぎ直す。 「普段はこうして一緒にいられる時間が少ないんだから、こういうときくらいは傍にいられることを実感させてよ」  繋いだ手のひらのあたたかさに、自然と笑みが浮かんでしまう。 「和臣……」 「僕の手を放したことを後悔しているであろう恭ちゃんの気持ちくらい、すぐに分かるんだからね」 「すごいな。本当に当たってる」  ただ並んでテレビを見るだけ――そんなありふれた日常を一緒に過ごすことができない自分の仕事を、ちょっとだけ恨んでしまった。 「ありゃりゃ、いつの間にか内容が進んでる。明らかに廃校になった学校を使って、何かをやろうとしているね」 「ああ。『メキシコ警察体験版』って玄関前に立て看板がある時点で、たくさんのフラグが立ちまくってるよな」  太陽に向かってほえろ! の恰好をしたお笑い芸人たちは、不安そうな面持ちのまま、薄暗い玄関の中に入って行った。 「Does anyone have drugs?」  全員が入ったところで、スポットライトを浴びたスーツ姿の外国人がいきなり何かを話しかけてきた。

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