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すれ違う笑いのツボよりも愛は深く――7

 視線の先にあったテレビ画面の中では、マカロニ刑事が外国人に言い寄られ、「ホワッチョ?」なんていうわけの分からない英語らしきものを喋っていた。 「自分よりも躰の大きな外国人に迫られたらビビっちゃって、上手く話せなくなっちゃうよね……」  困り果てているマカロニ刑事の様子を心配したのか、俺とのやり取りを中断して複雑な心境を語りはじめる。 (やっぱり臣たんは優しいな――)  膝を抱えてる和臣の片手を手に取り、さっきと同じように繋いでみた。 「恭ちゃん……」  繋いだふたりの手に視線を移してから、意味ありげな眼差しで俺の顔を見つめた和臣に、そっと顔を寄せた。  触れるだけのキスくらいいいだろうと考え、顔を近づけた俺の行動を読んで和臣は瞳を閉じる。 『ザッツライッ!』  テレビから発せられた異様に大きな声に驚いて動きを止めたら、和臣は両目をぱっちり開けた。  あと数センチというところだったのに邪魔しやがってと、忌々しく思いながらテレビを睨んでしまった。 「何してるのかな、あれ……」  同じように視線をテレビに移した和臣が、独り言を呟くように口を開く。  画面の中では外国人がマカロニ刑事が着ているスラックスのポケット部分を両手でもみもみしている場面だった。 「最初に言ってた薬が入っているのかもな」  俺としてはそう睨んだのに、マカロニ刑事は『ノープレミアム! イッツマイフレンド!』という、またしても不明な英語を口走った。 (最初のはノープロブレムと言いたかったんだろうが、ポケットに友達が入っているというのが分からなすぎる)  一方の頬を引きつらせながら心の中で感想を述べていると、スラックスの両方のポケットからそれらを取り出し、外国人の目の前に突き出した。 「「Σ(゚□゚(゚□゚*)ナニーッ!!」」  意外なものを目にしたせいで、和臣とシンクロして同じ言葉を叫んでしまった。

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