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すれ違う笑いのツボよりも愛は深く――8
「……恭ちゃん、マカロニ刑事が友達だっていう意味が分かった気がした」
「友達というよりも、アイテムと言ったほうがあの外国人が理解すると思うんだ」
「確かに、そうだよね」
ふたり仲良く顔を見合わせてから、視線をテレビにふたたび移動させる。
マカロニの製造メーカーを分からないようにするためなのか、パッケージの上に大きな紙が貼りつけられていて、『補充用』と汚い文字で書いてあるのが目に留まった。
『アヤシイモノ ハッケンシタ! ツレテイケ』
なぜだかたどたどしい日本語を喋った外国人が指示すると、サングラスをかけた黒服の男たちがどこからともなく大勢やって来るなり、マカロニ刑事を抱えてどこかに連行した。
「出だしからミッション発動させちゃう流れって、今年はハードだね」
「これがリアルな仕事だったら、マジで逃げだしたいかも」
「恭ちゃんがどこかに連れ去られたら、僕が絶対に助け出してあげるよ」
普段の仕事とテレビの現状を被せた渋い顔した俺を、鼻の穴を広げながら両手に拳を作り、大きな瞳でじっと見つめてくる和臣が可愛くて仕方ない。
(ああ、臣たんってば俺のことを考えて、そんなふうに力まなくてもいいのに。すっごく愛おしい……)
「……やっぱり我慢できない」
言うなり和臣の躰をぎゅっと抱きしめながら、すりすりと頬擦りした。
「何が我慢できないの?」
「だって冬休みに入ってから、毎晩和臣を抱いてるだろ。今夜は姫納めをせずに午前0時になってから、姫はじめしようと考えていた」
「そうだったんだ。僕としては一晩中抱いてほしい願望があったんでこうして並んで座ってから、恭ちゃんを誘惑していたんだよ」
ちょっとだけ拗ねて抗議する眼差しが、俺の心にチクリと突き刺さる。
「なんかさ、そのままの流れで姫納めをしてからの姫はじめをするのが、どうにもいたたまれなくて」
更に力を入れて和臣を抱きしめると、胸の中から「恭ちゃんのバカ」なんていう声が聞こえてきた。
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