7 / 20

第7話

「てっきり反対されるか、拒否られるかと思ったんだけど……」  多米は津麦と津麦のマンションへ戻ってくる。  基本的に十李とkyo-の実況は攻略を見ない、エンディング回収は全て行うスタイルでしていく為、すぐにでも『LOVERS』のプレイを開始する必要があった。 「『反対』と『拒否』って違うの?」 「ごちゃごちゃうるせぇよ、さぁ、タイトルコール」 「はいはい、じゃあ、十李と」 「kyo-の」 「「LOVERS 実況PART.1」」  十李とkyo-の実況は津麦と多米が二、三言、話して、タイトルコール後に始まる。  ちなみに、この多米のちょっと口が悪くなるのは振りだけで、本心ではないし、言い方も言葉に反してとても柔らかいので、視聴者には『わちゃわちゃしちゃって』とか『杏のドSwww』等と広く受け入れられていた。 「いやあ、初の恋愛系のゲーム実況で、BLゲーム。なかなかなチョイスですけど、kyo-さんはBLゲーってやったことがあるの?」 「いや、ないですね。ただ、この作品は恋愛系のゲームの割には鬼畜で、最高のゲームとして知られている。主人公は今、画面で話している栗田滋(くりたしげる)で、栗田はキャプにもある通り、俺が担当しますね。『僕は栗田滋。ただ1点を除いては至って普通の大学生……』」  基本的に十李こと津麦がややハイテンションで会話の投げかけをして、kyo-こと多米がややローテンションで十李の言葉に返したり、説明なんかをしていく。  ただ、今回はシューティングやアクション系のゲームと違い、台詞も多くあり、最近のゲームのようにボイスも全ての台詞には実装されていない為、実況前に津麦と話し合って、多米が栗田を担当することになった。  そして、栗田の相手役である男は勿論…… 「あ、柿埼(かきさき)が出てきましたね。柿埼は十李が担当します。柿埼大地(だいち)『よっ、栗田! 生きてたか?』」 「『生きてたか?って何だよ。(俺はこの後の結末を知っている)』」 「『ハハハ。それもそうだな』」 「『最近、論文ばっかだったから柿埼と出かけんの、久し振りだね。(もうすぐ、向こうの道からトラックが出てきて)』」 「『ああ。凄く楽しみだよな』」 「『(凄く楽しみだよなって言葉を最後に柿埼はトラックの下敷きになるんだ)』

ともだちにシェアしよう!