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第10話

慶太が来てからというもの、俺の生活は一変した。 まず、俺は仕事が終わり、暇さえあれば、やり部屋行ったりセフレとしたり、体だけの関係をつづけてきたが、それが無くなった。 俺より年下なのに真剣な思いで夢を描く慶太にやり部屋やセフレとやるばかり、後は自分の時間。 整理整頓や家事はしてはいても自堕落ともいえる生活を送っている自分と慶太を比較すると情けない限りだ。 「先にお風呂、借りるね、広斗さん」 「ああ」 俺はシンクで洗い物をしていた。風呂が終わったら洗濯だ。 突然、スマホが鳴った。 相手を見ずに慌てて電話に出ると、セフレの裕司だった。 「最近、連絡してこないけど、どうした?男でもできたか」 「まさか」 「だよな。お前は体を交えても本気にはならない」 「で、なんの用?」 携帯の奥で裕司がせせら笑った。 「なに、て、やりたいからに決まってんだろ」 「悪い」 俺は部屋の奥に引っ込んだ。 「今は無理だ」 「なんでだ?生理か?」 「そんなわけ」 「広斗さん、風呂、空いたよー、入りなよ」 遠くから慶太が俺を呼んだ。 「...今の誰」 「お前に関係ないだろ、切るぞ」 俺は一方的に電話を切った。 「電話中だった?」 「ああ、大した用じゃない。さて、俺も風呂入るかな」 髪をバスタオルで拭く慶太の隣をすり抜け、風呂場に向かった。 髪を拭いながらリビングに戻るとソファで変わらず、慶太は難しい顔をして本を読んでる。 ソファに散らかる本を何冊か手に取ると、動物愛護法に関する書籍やNPO法人を立ち上げる術などの小難しい本ばかり。 中には難病の子供を持った母親の実話のエッセイなどもあった。 慶太を邪魔しないように俺はコーヒーをいれた。 そっと慶太の座るソファの前のテーブルに置くと気づき、 「ありがとう」 「砂糖やミルクは?」 「2つずつ」 スティックシュガーとミルクポーションを2つずつ、キッチンから持ってきて、テーブルに置くと慶太がコーヒーに浮かべ、ティースプーンで掻き混ぜ、飲んだ。 「ホッとする」 片手でコーヒーを口にし、慶太が微笑むと釣られて俺の口元も綻んだ。 「明日は家でのんびり過ごそうか」 「出かけてばかりだったもんね、ごめんね、付き合わせて」 「俺も楽しいし、構わないよ」 俺はブラックのコーヒーに口付けた。

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