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抱かれる

久しぶりに2人で湯船に浸かった。 互いに湯船の縁に掴まった形で長風呂した。 「俺さ、欲張り、て思われるかもしれないけど。夢を全部叶えたい。動物愛護のNPO立ち上げたりもしたい、難病の子供を笑顔にさせるサポートもしたい、そしてさ、広斗も幸せにしたい」 「慶太...」 「俺さ、ゲイじゃないよ。偶然、男だった広斗に恋しただけ」 俺はうん、と頷いた。 「夢はでかければでかい方が、多ければ多い方がいいよ、生き甲斐になる」 慶太と出会う前に自分が経験して気づいたことだ。 「広斗の夢はなに?」 「俺の夢?慶太のお嫁さん、なんて」 後ろから慶太が抱きしめてきた。 「だけじゃない。慶太の夢が俺の夢。慶太をサポートしたい。今はこれくらい。少なすぎるな」 「そんなことない。嬉しいよ」 慶太の優しい声が耳に心地よく響く。 「早く広斗を抱きたい」 「俺も慶太に抱かれたい」 俺たちは風呂を上がるなり、体を拭くのもそこそこにベッドになだれ込んだ。 全身に慶太の唇と舌が這う。 「甘い。美味しいね、広斗は」 慶太の頭を撫でた。 何度も深い口付けをし、 「入れるよ」 の一言、慶太の勃起が俺を貫いた。 慶太の体が俺に侵入し、1つになる。 そして、感じてくれる、セックスがこんなに嬉しいことだったなんて。 無闇に男を受け入れてきた自分を恥じたが、だが、今に至るまでの経験になった、と思えるようになった。 「好きだよ、慶太」 「俺も。大好きだよ、広斗」 俺たちは互いの体の一部を使い、同時に果てた。

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