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第8話*【男の子なシルビー】

最近セリファは困っている。 「・・・んっ・・はぁ」 皆が寝静まる夜も深まるこの時間。 セリファは静まらない自分の熱を発散する為、今日も一人自慰行為に励んでいた。 (前は、こんな頻繁にしたくならなかったのに。どうしてこんな・・・) そう思いつつ理由はなんとなく分かっている。 恐らくラフェルと行う魔力交差が原因だと。 しかし、だからといってラフェルとの時間を減らしたいとも言い出せない。 そもそもセリファはその為に屋敷に連れて来られているのだ。皆、嫌なら断っていいと言うが実際ラフェルにされる事と言えば抱っこされて少し身体を撫でられるだけだ。最近は効率がいいからと頬に唇を当てられ驚いたが別にそれも拒否する程嫌というものではなかった。 だが、最近ラフェルと魔力交差を行うと堪らなくムラムラする。それも、女性を見て思うのではなくラフェルに欲情する。 (やっぱり、俺が【シルビー】だから?だからラフェル様にムラムラするのか?) 最近魔力の相性が良い者同士は身体の相性も良いと学んだセリファは自分がラフェルと最も相性が合う【シルビー】である事を自覚し始めた。 そして本来ならば手を繋ぐだけではまともな魔力交差など出来ないという事も同時に知ったのである。つまりセリファは自分の役目をちゃんと果たせていない事になる。 (さっきから擦ってるのに、あまり気持ちよくない。なんでだ?勃ってるのに。早く出さないと・・・寝る時間がなくなる) 結局セリファはその日も寝不足のまま朝を迎えた。 こうしてセリファの睡眠時間は日に日に減り続けている。そんな日が続いたある日、とうとうラフェルに様子がおかしい事を感づかれた。 「セリファ?どこか具合でも悪いのか?」 「・・・いや、そうじゃなくて。ただの寝不足?」 目の下に隈が出来ているのを確認してラフェルは座っていたソファーから立ち上がった。そして何か言いた気なセリファの手を引くと自分の寝室まで連れて行きベッドに座らせる。 セリファは予感が的中し、苦笑いした。 「流石にこんな時間に寝るのはちょっと。今日はいつもより早めに寝るようにするから・・・」 ここで寝てしまったら益々自分の役目を果たせなくなってしまう。それは不味いとセリファは思った。 「私も最近睡眠時間が足りてなかったから丁度いい。このまま少し仮眠を取ろう」 そう言って流れるようにベッドの中へ誘われたセリファは抵抗出来ぬままラフェルに抱き込まれた。 駄目だと思うのに、そのあまりの心地よさにセリファは思わず吐息を吐く。ラフェルから流れてくる魔力の波がとても気持ちいい。 男のラフェルに抱きしめられベッドに横になっている状態にやや違和感を感じるものの、最近セリファはラフェルとの触れ合いに抵抗を抱かなくなっていた。 寧ろ・・・。 (なんだろうこの香り。俺の知ってる香りだ) ラフェルから覚えのある香りを感じるてセリファは無意識にラフェルの首筋に顔を近づけた。 すると、その香りがより濃くなった。 「・・・セリファ?どうした?」 「俺の知ってる香りがする。いい香り」 暫くそのままでいると、そっと頭を撫でられた。 セリファは、なんだか変な気分になってきた。 気持ちいいのに、なんだか物足りない。 (したいと、思ったこと・・・) その時セリファはジルベールから言われた言葉を急に思い出した。なので早速実行してみる事にした。 「ラフェル様」 「うん?」 「俺もラフェル様の体に触れていい?」 目の前のエメラルドグリーンの瞳が大きく見開かれ閉じていたラフェルの唇が僅かに動いた。 直ぐに返事を返さないラフェルにセリファは思わず下を向いた。 (しまった。やっぱり余計な事言わなければよかった。怒った?) 「・・・勿論構わない。どこに触れてもいいよ」 緊張で固まっていたセリファの耳元にラフェルは優しい声で返事を返してきた。顔を上げると、その表情も何処か嬉しそうである。 セリファは頷くと目の前にある美しい男の顔に自分の指を這わせてみた。 (同じ男なのにびっくりするぐらい綺麗だ。普段はこんなマジマジと見られないから・・・鼻筋も通ってて唇も艶がある) セリファが興味深々で指を唇に這わせるとラフェルは微笑んでセリファの指をペロリと舐めた。するとそこから今までとは比べ物にならない魔力がセリファの中に流れ込んで来た。 「・・・・っぅぁ!」 「セリファも舐めてくれないか?私も欲しい」 差し出されたラフェルの指を今度はセリファが舌で舐めてみる。すると目の前のラフェルが堪らなそうに吐息を吐いた。僅かだが体も震わせている。 (ラフェル様も、もしかして気持ちいいのか?) そう思った途端、セリファは何故か下半身がムズムズし始めた。なんだか変な気分になっている。 (もしかしてラフェル様も、俺みたいになってるのか?ひ、一人でしてるのかな?) 考え始めたら気になってしょうがなくなって来た。 セリファはコッソリと片手をシーツの中に下ろすと、バレないようにそっとラフェルの股間に手の甲を当ててみた。 (・・・・・・あ") 結論から言えば勃ってなかった。 セリファは急にとても恥ずかしくなってしまった。 一人で勝手に興奮し、とんでもない事をしてしまったと酷く慌てたのだ。 (お、俺何してんだ馬鹿!こんな事するなんてどうかして・・・) 「どうした?もっと触ってもいいんだよ?」 焦るセリファの手にラフェルの手が重ねられる。 因みに重ねられたのは頬に触れる右手ではなく、先程よこしまな考えで下げられた左手だった。 「ちゃんと、手のひらを当ててごらん?」 誘導され手のひらでラフェルの脚の間を下から撫でる。すると今度はしっかりとその固さを確認出来た。セリファの顔は真っ赤である。 「ぁ、あの。ご、ごめ・・・」 「セリファが触れる前に腰を引いたんだよ。嫌な気分になるかと思って。でも、気にする事なかったかな」 そう言いつつ、ラフェルの手はゆっくりとセリファの腰に撫で下ろされた。

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