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第9話*【していい事と駄目なこと】
人生経験が浅い若者は好奇心が旺盛である。
ラフェルはセリファがそんなお年頃である事に改めて気付かされた。
「そのまま触ってて構わないよ。その代わり私も触るから」
「・・・ぇひぇ!?」
セリファの腰にあった自分の手を前側にずらし当てると、彼も同じ様に前を固くさせていた。
布越しから、その固く膨らんだ部分を指で撫でるとセリファは面白いほど狼狽えた。そしてセリファから溢れる魔力の濃度が増したのが分かった。
「ラ、フェルさ、ま。待って、お、おれ、その」
「反応してるね?ずっと辛かった?」
【シルビー】を手に入れたラフェルは、彼に嫌われ逃げられぬよう慎重に動いていた。いくら身体の相性が良くてもセリファは男である。男のラフェルより可愛い女の子が良いと思うのは当然だ。
勿論ラフェルも最初は女性がいいと思っていた。
しかし羞恥で頬を染め困った顔でラフェルを見上げる青年の姿に彼は今、欲情している。
決して細くないその顎を上向かせたまま、セリファのズボンのボタンを外し手を差し込むと、ラフェルの邪魔をしないようにか、セリファの片手が無意識にラフェルのシャツを強く握りしめていた。
「ーーッラフェル・・・さま。俺すぐ・・でちゃうかも」
セリファがここに来てから数ヶ月、二人はただずっと手を握っていただけだった。それでもセリファに出会う前に比べ大分身体の魔力が安定し始めていたラフェルは、暫くこのままでもよいかと思っていた。
しかし手を繋ぐだけの微々たる魔力交差であっても、その間、体から発生する快楽物質は無くなる事はない。回数を増す毎に身体はその欲求を溜め込み我慢出来なくなってくる。
(成人するまではと思っていたが、仕方がないな)
「射精しそう?かまわないよ、このまま出してみて」
「まっ・・・て。見ないでラフェル様」
しっかりと起立しているセリファのそこを、やんわりと手で握り上下に扱くと、それだけで気持ち良いのかセリファの腰がビクビクと反応した。
セリファは恥ずかしそうに目を細めながらラフェルに応えようと必死に自分も手を動かしている。けれどその手付きはとても拙い。
「っぁ!・・・ラフェル・・さ、ま!」
「恥ずかしいなら目を閉じていいよ。ほら」
「ぁひぅ!?ーーーぁっう!!」
敏感な先の裏側をヌチヌチとしつこく責められ、いつの間にか胸元に差し込まれたラフェルの指がツンと立ち上がったセリファの乳首を摘むと、その刺激でセリファはイッてしまった。
半透明の白い液体が勢いよく飛び散りベッドのシーツを汚していく。そしてラフェルは、その時放たれたセリファの魔力を存分に味わった。
「ーーーーーーーッ!」
驚くほど濃厚で密度の高い魔力が一気にラフェルの身体に流れ込んで来る。ラフェルは身体を震わせながら息を整えているセリファを抱きしめた。
「ラ、フェル・・・さま?」
「すまないセリファ・・・嫌かもしれないが、手を貸して欲しい」
そして布越しに当てられていたセリファの手を掴むと、彼の手を自分のズボンの中に誘い限界まで固くなった欲望を握らせ、その上から自分の手を重ね熱を鎮める為、手を動かした。
直接触れているセリファの手が、驚く程気持ちいい。
「ーーッ!ど、して・・・俺、は、されてないの、に」
ラフェルの快感がセリファにも伝わっているのだろう。手を動かしながらセリファの身体はビクビク痙攣している。
「そういう、ものだからね。我慢出来ないなら、もう一度してあげるから」
久々に味わう気持ち良さに、ラフェルは少しだけ冷静な判断が鈍った。
空いている左手で一緒に気持ちよくなっているセリファの耳を撫でながら、もっと触れたいと顔を近づけ気持ち良さで真っ赤に汗ばむ彼の顎を持ち上げる。
「ラ、ラフェル様・・・も、もうイッて。お、俺これ以上は・・・」
「早くイッて欲しい?じゃあセリファが私をもっと気持ち良くして。セリファ・・・キスして」
身を任せていたセリファはラフェルの言葉に動きを止めた。そして、驚いた顔で彼を見上げた。
「・・・・・・え?」
その反応でラフェルは自分が失敗した事に気が付いた。そして同時に、とてつもない虚無感に襲われ頭が一気に冷めた。
「あ、の。ラフェル様?」
「・・・すまない。ちょっと夢中になり過ぎてしまったみたいだね。今のは忘れて欲しい」
ラフェルは何事もなかったかの様に微笑むとセリファの手を離し手早く汚れを拭いてセリファの服を整えた。
そして自分の身なりも正すと立ち上がった。
「浴室で汗を流して来るといい。ありがとうセリファ」
「・・・ーーーーーーッ」
何か言いた気なセリファを残し、ラフェルはその部屋を出た。そして、自室の洗面室に入ると水を出し顔を冷やした。先程までの甘く燃え上がる様な気持ちは、すっかり冷え切ってしまっている。
ラフェルはセリファの反応に過剰に反応してしまった。
「・・・まいったな・・・どうすればいいのか」
【シルビー】から拒絶される。
それが実は、運命の番と上手くいかない一番の原因であるとラフェルは知ってる。
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