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第19話【シルビーへの執着】

セリファが悶々と考えを巡らせている一方で交際を断られたラフェルも一人悶えていた。 (・・・こんな事なら変な気を回さずもっと好意を示しておけば良かった。まさかセリファが私を意識しているなんて・・・) セリファが自分を恩人だと思っている事は分かっていたラフェルだったが、それでも彼が同性である自分に好意を寄せてくれるとは思えなかった。その為、今まで積極的にセリファを口説こうとした事はなかった。 そもそもセリファが未成年だと分かった時点で、そういった行動は問題であるとラフェルは思い込んだ。 だからこそセリファの恩義を利用し許してくれるギリギリのラインを探っていたのだ。 しかし、結局ラフェルは我慢できず彼が成人を迎える前に少し手を出してしまった。そしてラフェルは自分のハッキリしない気持ちの処理もしないまま衝動に任せ交際を申し込み、見事に撃沈した。 「・・・はぁ・・・セリファ」 その失敗で、ここ暫くセリファとはまともに顔を合わせていない。ラフェルは不甲斐ないと思いつつもセリファが側にいたら抑えが効かなくなると確信出来た。 戸惑うセリファを思うがままに抱きしめ、身体中くまなくキスをして、泣き出すまで弱い場所を責め、まだ触れたのことない彼の秘められた場所を開いて、たっぷり可愛がったその場所に自分の凶暴な欲望を突き入れてしまいたい。 少し口で奉仕しただけであんなに可愛く啼くのだ。 ラフェルが本気でセリファを愛したら、きっともっと可愛い。 そこまで考えてラフェルは意識を覚醒させた。 (いけない・・・また暴走しそうになった。セリファの事になると、どうも冷静な判断力が鈍るな。あの子はまだ私に恋愛感情はないと言ってたじゃないか!) だがしかし、間違いなく意識はされている。 ラフェルはセリファの"勘違いさせなるな"という言葉を聞いて確信していた。 セリファはラフェルが自分に恋愛感情を抱く事を望んでいる。そして、セリファは気付いていないが彼自身もそうなりたいという願望が態度から伺える。 (彼の気持ちに応えたいが、こればかりは私にも分からないな・・・この答えは出ないだろう) 二人がお互いに抱く感情は果たして恋なのか。 それともただ【シルビー】と番の相性の良さがそう錯覚させているだけなのか。それは、セリファがラフェルの【シルビー】である限り答えが出ない。 そんな風に考えつつも、ラフェルはセリファの恋人になる事を諦めていなかった。 何故なら、もしセリファが明日【シルビー】でなくなったとしてもラフェルはセリファを手放す気にはなれないのである。 (セリファが誕生日を迎えるまであと10日) ラフェルはセリファが自分の友人であるルミィールの所で働き始めてから、ずっと彼がその日を迎えるのを待っている。 今の自分達の関係を変えたいというセリファの気持ちを知り、ラフェルはやり方を変える事に決めた。 (セリファが恋人関係を拒否するのであれば無理強いはしない。本来の予定通り私の【シルビー】を愛するだけだ) セリファは詳しく知らないが、ラフェルには人間とエルフ、そして魔人の血が流れている。 その中でもラフェルが最も血を濃く継いでいるのはエルフの血である。しかし厄介な事に、その次に濃いのが正反対の性質を持つ魔人の血であった。 その為ラフェルは普通の人間よりも全ての能力が桁外れに優れており、それもあって大変貴重な人材として一目置かれていた。しかし、人の身体で大き過ぎる力の均衡を保ち続けるのはとても難しい。そして精神面も強く影響される事が多かった。 エルフは基本潔癖で柔和に見えて同族以外は簡単に受け入れない頑なな一面を持っている。 セリファの中に自分とは違う魔力が残っている事をよしとしなかったのはラフェルの中のエルフの性質がそうさせた所が大きい。 そして魔人の性質はその真逆。 何者にも囚われる事なく欲しい物を欲しいまま手に入れないと気が済まない。気まぐれで残酷で欲望に忠実。しかし、一度気に入れば相手が敵対関係であったとしても受け入れる寛容な一面を持っている。 魔人の血が強いエゼキエルと対等に肩を並べられる一つに二人が実は認め合った友人関係であるからだと言えた。 最もエゼキエルが【シルビー】に関しての認識が甘かった事が原因でラフェルの逆鱗に触れたのであるが、あの出来事がラフェルとセリファの関係を変化させるきっかけになったのも確かである。 (少し大人気ないが、君が悪いんだよ。君が私を本気で欲しがる素振りなんてみせたから・・・) 今はまでセリファを気遣い我慢していたラフェルは、我慢する事を止める事にしたのだ。 その日は直ぐそこまで迫っている。 (必ず、セリファに私が欲しいと言わせてみせよう) そしてセリファのそこそこ平穏な日々が、あと数日で終わりを告げる予定である事を知らないのは、残念ながらセリファのみである。

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