25 / 102

第25話【セリファの達成とラフェルの絶望】

(・・・す、凄かった・・・) 夜、目を覚ましたセリファは数時間前に繰り広げられたラフェルとのあんな事やこんな事を思い出しながら痛む身体をなんとか起こし隣に座るラフェルをチラリと見た。 「喉が渇いただろう?これを」 あんな事をした後なのにラフェルは平然としているように見える。セリファは目を合わせるのも恥ずかしいというのに。 少しいじけた気持ちになりながら手渡して貰った飲み物を口にすると、それは直ぐにセリファの渇きを潤してくれた。少し甘くてスッキリとした後味にセリファはホッと息を吐いた。 「ごめん、俺、こんな時間まで寝ちゃったみたいで」 「構わないよ。今日はこのまま、ここで夕食を食べよう。セリファの成人祝いは、また改めてする事にしたからね」 「え!?そうなの?でも、折角準備してくれたのに・・・」 自分の為にわざわざ準備してくれた屋敷の皆の好意を無駄にはしたくないセリファは、慌ててベッドから降りようとして、動きを止めた。 というか動けなかった。 思った以上に腰が痛い。 「ルミィールには暫く休むと伝えておいた。強引に抱いたから君が思っている以上に身体に負担が掛かっているんだ」 ラフェルの説明にセリファは首を傾げた。 確かにセリファは初めてだったのでラフェルを受け入れるのは簡単ではなかったが、かなり念入りに準備されたので強引ではなかったと思う。実際ラフェルを受け入れた時、セリファは想像していたほど痛みを感じなかった。 「そうなのか?そんなに痛くなかったけど・・・」 思い出して頬が赤くなったセリファに対してラフェルは少し困ったような顔で微笑んだ。そんなラフェルにセリファは少し違和感を感じた。 「ラフェルさ・・・ラフェル?どうかした?」 セリファがラフェルに声をかけるとラフェルは何故か目を大きく開いてセリファを凝視した。畏まらずに名を呼べと言われたので言い直したが、駄目だったのだろうかとセリファは少し不安になる。 少し前にラフェルの前でみっともなく泣いてしまったのもあって、なんだかソワソワしてしまう。 ラフェルは暫く、そのままセリファをじっと見つめた後その目元を緩めると、いつもの様に微笑んで、セリファのまだ赤い頬をそっと撫でた。 「いや・・・私は思った以上に欲深い人間だったんだと、改めて思い知らされただけだ」 さっぱり意味が分からないセリファは、やはり首を傾げた。もしかしてセリファにした事に対して罪悪感を感じているのだろうか?ここまでセリファを大事に扱ってくれたラフェルならあり得そうだとセリファは思う。 (気にしなくていいのに。俺が望んでこうなったんだから) 「もしかして、俺にした事、気にしてるの?俺は気にしてないよ」 少しでもラフェルの気持ちが楽になればいい。セリファは出来るだけラフェルが気に病まないように彼に声をかけたつもりだった。 「・・・セリファ」 しかし、その言葉を聞いたラフェルの表情は優れない。口元は笑っているのに、その瞳はどこか影がある。やはりラフェルは自分の事を心配している。 セリファは勝手にそう決めつけた。 「慣れればなんて事ないよ。俺、身体は丈夫な方だし、次はもっと上手くやる」 「・・・いや、セリファ。この方法はもう・・・」 問題ないと説明しているセリファの言葉が、まさかラフェルに追い討ちを掛けているとは思いもしないセリファは、彼の言葉を遮った。 「大丈夫。それに、確実に魔力交差するならこの方法が一番効率的だよね?1日に何度も魔力交差する必要がないから俺も楽でいい」 半分は気遣いから。 もう半分は強がりだった。 「っーー・・・・・・セリファ、は」 セリファは知らない。 「セリファは、その方が、だと?セリファはその方がいいのか?」 ラフェルを気遣うつもりのこのやり取りが、逆に彼の心を深く抉ったのだということを。 ラフェルの声が微かに震えていたことすら、必死なセリファは気付かなかった。 「うん。だってその方が、俺もラフェル様も自由に時間を使えるし。1日に何度も魔力交差するよりも数日に一回するだけで済む方がいい」 ラフェルに心配をかけぬ様、努めて笑顔で話すセリファに対しラフェルの顔色は蒼白い。 やがて、ラフェルは力なく頷くと、そっとセリファの手に自分の手を重ね下を向いたままセリファを受け入れた。 「・・・分かった。君の、意思を尊重しよう」 そんなラフェルにセリファは安堵した。 コレで少しはラフェルの負担が減る。 セリファの心は軽くなった。 まさかこのラフェルとのやり取りが今までにない程、大きなすれ違いを生む事になるのことを今のセリファは知る由もなかった。

ともだちにシェアしよう!