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第26話【ルミィール衝撃の告白】
数日後、直ぐに回復したセリファは仕事に復帰した。
そして、早速ルミィールに詰め寄られた。
「それでぇ?お前ラフェルとしたの?」
まぁそう思われるのは仕方がない。
そして、事実セリファはラフェルと身体を重ねた。
しかし一応そこはデリケートな問題として扱って欲しい。そんな興味津々に詰め寄らないで欲しいとセリファは思う。
「うん。まぁ」
ルミィールはセリファ達の事情を知っているので隠しても無駄だろう。短い付き合いなりにルミィールの為人を知っているセリファは隠す事はせず、すぐに認めた。そんなセリファをルミィールは未だに興味深々な眼差しで観察している。
「ふ〜ん?確かに、前よりラフェルの魔力が馴染んでるなぁ?・・・それで、セリファはその後、何か変化あったか?」
「変化?別にいつも通りだけど。身体はどこもおかしくない」
心配されたのかと思い問題ないと答えたセリファに、ルミィールは眉を顰めた。どうやら質問の意図が違ったらしい。
「いや、そうじゃなくて。ラフェルに抱かれた時、身体に変化が起こらなかったか?例えば、自分の魔力が変化したりとかさ?」
そういえばルミィールは前から【シルビー】に関して詳しい事をセリファは思い出した。どうも自分は観察対象として見られているらしい。
セリファは半眼でルミィールを見返した。
「変化はない。前に一度ラフェル様が俺に魔力を分けてくれた時は俺の魔力と同じ色に変化したけど、それ以来起こってないし」
「あーーー・・エゼキエルの事件の時の・・・」
一瞬ルミィールの表情が険しくなる。
それにセリファは驚いた。
ルミィールは普段目元を前髪で隠しているが、その表情は基本柔らかい。というよりも、いつもふざけている。
セリファはルミィールが真剣な顔をしているのを見た事がなかったのだ。
「ルミィールは、エゼキエル様を知ってるのか?」
セリファが尋ねるとルミィールは心底嫌そうな顔で口の端を吊り上げた。
怖い。
これは絶対に知っている顔である。
「・・・つい先日、会ったばかりだからな」
「え!!あ、もしかして香油の取り引き先?」
ルミィールが扱うのは魔力濃度が高い特殊な香水や香油である。質が良いこともあり商品は貴族や王室に納められているらしい。そう考えればラフェルやエゼキエルと交流があるのも納得できた。
「それがさぁ〜・・・どうやら僕、アイツの【シルビー】だったみたいでさぁ?」
が、しかし。
ここでルミィールが予想だにしていなかった事情を暴露し始めた。
それを聞いたセリファは一瞬思考が停止した。
そして目が点になった。
「・・・・・・ぇ、ええ、と。ん?誰が、誰の?」
俄に信じられず、思わず聞き返してしまう。
そんなセリファを他所に、ルミィールは忌々しそうに舌打ちしながら繰り返した。
「ぼくが!エゼキエルの!【シルビー】だったの!!」
数秒の静寂が、その場にもたらされた。
「ぇぇぇえええええええええええ!?」
普段大声を上げないセリファだったが、この時ばかりは無理だった。あのエゼキエルの【シルビー】が自分の目の前にいるルミィールだという衝撃の事実。
セリファはルミィールを凝視した。
自分より一つ歳上のルミィールの身体はセリファよりも背が低く小柄である。室内に籠り仕事をしているその体は真っ白で筋肉がついておらず、身体は細い。
それに対して相手のエゼキエルは・・・。
まずい、ルミィールが殺されてしまう。
セリファはブルブル震え出した。
「な、何でそんな事に?あれ?もしかして、ルミィール自分が【シルビー】だって知ってたのか?」
「まぁね。僕は早い段階で教会に保護されたから。そもそも僕、誰かの【シルビー】になるつもりもなかったし。この前、曲がり角で偶々エゼキエルとぶつかったんだ。その時、見つかった」
つまり、それは不測の事態だったのだ。
ルミィールは幾度も王宮に出入りしているので今まで見つからなかったのは運が良かっただけだろう。
本来、誰が自分の【シルビー】であるかはお互いが触れなければ分からない。
セリファは真っ青になった。
「そ、それ・・・ラフェル様は?」
「今頃王宮で聞かされてるんじゃ?僕は王様に直接お願いされたから逃げ場ないしね」
「オ、オウサマニ、オネガイサレタ?」
キャパを大幅に超える事態にセリファは口をパクパクさせた。しかし当の本人は面倒くさそうに頬杖をついているものの、落ち着いている。それがセリファには信じられない。
「そっか〜・・・身体を繋げたら必ず変わるって訳でもないんだな、少し安心したかも・・・」
未だに混乱中のセリファを他所に、衝撃の告白を果たしたルミィールは何やら独り言を呟くと子供みたいにニヤリと笑った。
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