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第40話【想定外】エゼキエル*
「ねぇ〜エゼキエル様ぁ?最近呼んでくれないのねぇ?前は忙しくても構って下さったなのにぃ〜!」
エゼキエルは久々に立ち寄った酒場で覚えがある女に絡まれた。この店は他の店に比べ酒の品揃えがよく、エゼキエルのお気に入りだ。
高価な商品も置いてある為、大衆向けというよりは平民でも裕福な者や貴族が利用する事が多い。
エゼキエルは慣れた仕草で腕に絡みついて来た女の腰を掴み、自分に引き寄せる振りをして反対側に彼女の体を移動させた。
「悪ぃな?今日は連れがいるから遊んでやれねぇよ」
「えぇ〜?新しい子?どうせすぐに飽きるわよぉ〜」
エゼキエルの表情は一見全く変化がないように見えるが内心しつこい女に苛立ちを覚えていた。
いつもなら追い払えば素直に従うのだが、今日に限って食い下がってくる。彼を連れて来たこの日に限って。
「誰に飽きるって?断られたんならサッサと諦めろよ。連れがいるって言ってんだろ?」
「あらぁ!?子供がなんでこんな場所に?坊やママはどうしたのぉ?」
「僕が坊やならアンタは年増だな?オバサン」
「まぁ!?」
エゼキエルは今度こそ苦虫を潰した様な顔になった。
そして、ルミィールをこの店に呼び出したのは失敗だったと後悔した。
「俺の連れに絡むんじゃねぇよ。あとそいつは若いが成人してるぞ?ただチビなだけだ」
「アンタが無駄にデカイだけだろが!チビって言うな!」
女は少し不満気な表情をしたがチラリとエゼキエルに目配せした後、渋々二人から離れて行った。相手も商売なのでその辺りは弁えている。
一方少し怒りながらもその場を去る事なく自分の隣に座るルミィールにエゼキエルは安堵した。
そして、そんな自分自身にとても驚いている。
「この店、初めて入った。アンタ意外と洒落てんだな?」
「良い酒が揃ってるからな。何か飲んでみるか?」
「いや、買ってく。どうせこの後屋敷に行くんだろ?」
平然とそんな事を口にするルミィールの様子をエゼキエルはひっそりと観察した。ルミィールは特に変わった様子はなく、どの酒を持ち帰るか考えているようだ。
(・・・怖がられては、いねぇのか・・・?)
エゼキエルは今まで一つのものに執着した事がない。
直ぐに飽きてしまうからだ。今、彼の側に残っている者達は立場上付き合いのある人間だけだ。
他人にどう思われようとエゼキエルは気にしない。
自分の思うように生きるだけだ。
それなのに、彼は今自分よりも遥かに弱いこの青年に嫌われる事がなによりも恐ろしいのだ。
エゼキエルは先日、初めて自分の【シルビー】を抱いた。
「っふ、んぅ・・・ゃ!エゼ、キ、エル!くすぐったい・・・」
ルミィールの許可が下りキス以上を許されたエゼキエルはその日、初めて衣服下に隠されていたルミィールの肌の白さを目の当たりにした。
元々引き篭もり気味のルミィールは歳の近いセリファに比べて遥かに肌が白く体も小柄で髪や体毛の色素も薄い。長いシルバーピンクの前髪を分け顔を見せれば実は可愛らしい美少年だ。"黙って立っていれば"という追加事項が必要になるのであるが。
エゼキエルはルミィールとキスでの魔力交差を堪能しながら、彼の着ている服を少しずつ剥いでいった。
そのやり方は女性とするのと然程変わらないので手際良く脱がしていく。そして露出した白い喉元にエゼキエルは衝動的に吸い付いた。
突然食いつかれたルミィールは驚いたのかビクッと身体を強張らせた。しかし、噛み付いたりはせずに吸われながら舌で喉仏の辺りを何度も舐められたルミィールは少しくすぐったいのと薄い皮膚を刺激される気持ち良さとでぼうっとした。
「お前分かりやすいな?くすぐったいだけじゃねぇんだろ?」
耳元で囁きながら耳たぶや耳の裏を舐めてやれば気持ちいいのかブルブルと震えながら甘い吐息を吐き出しエゼキエルに縋り付いてくる。その度に今までとは比べものにならない魔力がエゼキエルとルミィールの間で行き来した。
エゼキエルは自分の上着を全て脱いで投げ出すとルミィールのズボンに手をかけた。それに気付いたルミィールが咄嗟にエゼキエルの手首を掴む。
「・・・っあ、のさ?」
「なんだ?」
「部屋を暗くして欲しいんだけど?」
てっきり怖気付いたルミィールに行為を止められるかと思いきや意味不明な要求をされエゼキエルは首を傾げる。
「なんでだよ?」
「ア、アンタに身体を見られたくないからに決まってるだろ!!僕、男だし!!」
全く意味が分からなかったが面倒だったのでエゼキエルは言われた通り部屋のカーテンを全て閉め、その後ルミィールのズボンと下着を一緒に引き抜いた。
そして自分も裸になるとルミィールに覆い被さる。
「あとは?不満があるならまとめて言え」
「・・・・・・べつに、ないけど」
何故か膨れっ面のルミィールにエゼキエルは柄にもなく心が騒ついた。その原因が彼には分からない。
「じゃあ、もういいな?続けるぞ?」
エゼキエルはシャツ一枚羽織っただけのルミィールを自分の膝の上に乗せると腰を引き寄せ、お互いの股間を密着させた。ルミィールは固くなっているエゼキエルの凶悪な猛りを自分の股間に押しつけられて真っ赤になった。しかしルミィールは怖がっているというよりは、どちらかといえばソワソワしている様に見えた。
「なんだよ?言いたい事があるなら言っていいぞ」
やはり嫌なのだろうか?
エゼキエルは、ルミィールが本気で嫌がるのなら止めるつもりでいた。
「・・・これ、舐めてみていいか?」
ルミィールの小さな細い指がエゼキエルの太くて長い立派な頂きに触れる。
自分が見つけた【シルビー】は思っていた以上に面白い男だとエゼキエルは思っていた。
会う度に予想外の行動や発言をするルミィールにエゼキエルは驚ろかされたが不快感は全くなかった。
寧ろ、エゼキエルは楽しんだ。
「いいぜ?その代わり俺にもやらせろ」
しかし、まさかこの後。
自分が本気でルミィールにハマるなどとは
流石のエゼキエルも知る良しもなかったのである。
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