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第10話*【性欲処理】

アルティニアは答えの出ない疑問を抱えながら、抗い難いその温もりに身を任せた。  自分がリューイの【シルビー】であると知らされ他の【シルビー】達が相手に愛されている姿を実際に目撃したアルティニアは自分も彼等のようにリューイから求められる日が来るかもしれないと身構えていた。しかしリューイは他の番とは違い【シルビー】を必要としていなかった。  それでもリューイは貴重な【シルビー】であるアルティニアを手放すつもりはないようだった。  これはアルティニアからすれば非常に都合が良い話である。アルティニアが同性のリューイと魔力交差を行うのは通常であれば難しい。魔力交差は普通、男女で行うのが一般的であり同性同士の魔力交差は困難なのである。  おまけに【シルビー】だと明かされた事で宮廷騎士ではいられなくなったが、その対価として名家の上級貴族ハイゼンバードの養子として迎入れられ何不自由ない暮らしが保証された。もう苦労して手柄を立てなくともよいのだ。身勝手な叔父の下で耐え忍び生きて来た彼にとってこれ程の僥倖はないだろう。  しかし彼は素直に喜べなかった。  リューイの元へ来て以来ずっと自分でもよく分からない感情に振り回されている。  リューイの手が触れたいのを我慢していた箇所に触れ固く立ち上がった根本をしっかりと握る。  そしてそのまま少し強めに上下に動き始めた。 「…‥…っぅ……うっ!」 「先端から溢れてくるね?このまま続けても良さそうだけれど、コレを使う方がキツくないかな?」  リューイが何かを取り出した気配がしたが、アルティニアはそれどころではない。 まともにその場所を弄ったのはリューイの屋敷に来てからは初めてだ。そして実は他人にそこを握られるのも初めてである。  ラフェル・リンドールの屋敷にいた時は隠れて処理出来ていたが、リューイの屋敷に来てからは油断出来ずずっと我慢していたので実は限界だった。  それもあり通常ならば決して他人に触れさせないその場所を晒され、弄られているというのに全く抵抗する気になれない。寧ろ身体は素直だった。 「………っぁ!リュ、イさま、もぅっ手をっっ!っう!」  彼の手で軽く上下に扱かれただけでアルティニアはアッサリとリューイの手に溜まっていた熱を吐き出した。  自分でするよりも遥かに気持ち良かったアルティニアは思わず甘い吐息を吐いた。そのまま快感の余韻を味わっていると背後で動く気配があった。    リューイの存在を思い出したアルティニアが慌てて身体を起こすと上着を脱ぎシャツをはだけさせたリューイに再び腰を引き寄せられ今度は仰向けに押し倒れる。そして晒されたアルティニアの胸から腹筋、少し力を無くした中心部に謎の液体を垂らされた。   「あ、あの…リューイ様。これは一体?」 「心配しなくても害はないよ、ただの香油さ。君はそのまま寝転がっていればいいから」  アルティニアの鍛えられた胸筋をリューイの掌がやんわりと撫でる。先程とは違い全体的に香油を塗り込むように撫でられアルティニアは妙な気分になった。    女でもないのに胸を撫でられるのは正直抵抗感がある。    胸の先端には触れられていないが、その縁を何度も指でなぞられると言いようのない熱が腹部の辺りに溜まっていく感覚がした。それは初めて知る感覚だ。  正直とても焦ったい。 「口を開けて舌を出して。魔力交差しよう」  そう言われアルティニアは言われた通り舌を突き出していた。彼の舌の先端にリューイの舌が触れ、先程よりも強烈な快感がアルティニアの身体を突き抜ける。  「っっっっんぁあーっは!!!」  自分の身に何が起こったのか分からず目線だけ下に向けるとリューイの指がヌチヌチと音を立ててアルティニアの乳首を指で挟み小刻みに扱いていた。しかも、その場所にも魔力を流しているせいか、そこで快感を拾ってしまう。反射的に身体を捻ろうとすると今度は突き出していた舌を強めに吸われながら口内を激しく愛撫された。  強烈な魔力交差の快感に抗う術はなくアルティニアは翻弄され気がつくと下腹部が再び固く反り返っていた。 「っぁう!…はぁっはぁ!だ、だめ、です。胸は、やめて、くだ、さ………っぁぁあ!」 「嘘はよくないなぁ。ここ虐められるの好きなんだよねぇ?身体は素直だ。強めに引っ張る度にビクビクさせて…ただ性器を擦られるよりもこっちの方が気持ち良いんだよね?ほら、その証拠にさっき出したばかりなのにもう先っぽからいやらしい液が垂れてるよ?」  両方の胸の突起を刺激されながら力を取り戻した場所にリューイの下半身を押し当てられ、上から擦られる。おまけに耳元で辱められているというのにアルティニアは何故か興奮した。  もうこのままイかせて欲しいなどと思ってしまう。  (駄目だ。気持ち良すぎて自制心が……ここで止めなければ言い訳のしようが………)  リューイの熱い膨らみが自分と擦り合うたび、お互いの熱や快感が伝わり、それに合わせてリューイの手や舌が彼の唇や肌を優しく激しく愛撫すればアルティニアの身体は拒む事なく素直に快感を受け入れ期待に身体を震わせた。 「……っ!アル、ティニア。いくよ?私のをあげるから、ちゃんと味わって。少し、刺激、が強い、けど。寝込んだら、また私が介抱して、あげる、から」  リューイの掌がお互いの怒張を重なり合わせたまま握り行き来している。身体を密着させていたためリューイの下半身が露出していた事に今まで気がつかなかった。美しい顔に似合わず下半身は凶悪な形と大きさである。そして、リューイの言葉の意味が分からないアルティニアはこの後来るであろう衝撃にただ身構えるしかなかった。    「はぁ、アルティニアっーーーっく!!」 「っっっっ!!!?んぁぁあああ"あ"あ"っひ!」  ひどく熱い何かが自分の腹部を濡らした瞬間。  アルティニアの身体は激しく弓形に反り上がり酷い痙攣を起こした。そして強制的に絶頂まで追い上げられた彼の怒張は耐えきれず白濁を吐き出し、それは直ぐには止まる事なく先端から液をダラダラと溢れさせた。  彼の瞳から意思に反して涙が溢れる。  強すぎる快感は苦痛となり直後のアルティニアを苦しめる。そんなアルティニアを熱を持ったリューイの瞳が見下ろしていた。そして身体の痙攣が治まるとリューイの手がそっとアルティニアの頬を撫でた。 「スッキリしたかい?そのまま寝ていいよ。後は私がやっておくから」  霞む意識の中、何故リューイがこんな事を始めたのかその謎が解けた。この行為の目的は魔力交差ではない。 「ゆっくりお休み。私のアルティニア」  コレは、ただの"処理"。  アルティニアを満足させる為の意味のない行為なのだと。  

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