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第13話

3人が部屋に帰ると秘密の会議が始まった。 「もしかしたらだけど...恭一さんが好きなのは、ソラ、て事になるのかな」 3人は三角になり座り、リクは腕を組んで胡座をかき、会議の始まりだ。 「そ、そんな訳ないよ...」 「好きでもないのにキスするか?普通。しかも、ソラは男だ。恭一さんもゲイには思えない」 神妙な面持ちでカイは親指を噛んでいる。 「...直接、確かめた方が早いのかな」 リクの押し沈めた声に、 「それが早いのかもね」 カイが頷く。 ソラだけはソワソワ、落ち着きがない。 「やめようよ、2人とも...」 「駄目だ。はっきりさせなくちゃ」 カイが言うと、リクがうんうん、と頷いた。 そして、リクは恭一に連絡を入れた。 互いの都合がいい日を合わせ、自宅に来て貰う事になった。 当日。 リクとカイがそれぞれ、忙しなく、リビングをウロウロしている。 ソラは消えてしまいたい...とダイニングテーブルに突っ伏して、息を押し殺して座り込んでいる。 (ピンポーン) リクとカイは争うように玄関に駆け寄った。 「よう」 「こ、こんにちは」 「ケーキ買ってきた」 「あ、ありがとうございます。お茶入れますからどうぞ」 作り笑いを頑張り、リクはキッチンで紅茶をいれ始めた。 「とりあえず、ここじゃなんなんで...」 カイが恭一を部屋へと案内しようとするが、ソラが動かない。 「ほら、ソラも」 唆され、ソラは、うん...、重い腰を上げると、 「大丈夫だから」 キッチンのリクが小声で話しかけ、ソラも微かに笑った。 リクが紅茶とお皿に乗せ変えたケーキを乗せたトレイを運んで、座る。 苺のショートケーキが4つ。 しばらく、4人は無言でケーキを食べ、紅茶を飲んだ。 「さて、これからが本題です」 リクがビシッと恭一を見つめる。 「恭一さんが好きなのはソラですか」 恭一はリクの瞳を見つめ返したまま、かなり長い沈黙を置いた。 ソラは正座の太ももに置いた拳をギュッと握っている。 「お願いがあるんだけど」 突然の恭一の声が静まった空気を変えた。 「3人とも、これ、付けてくれるかな」 恭一が渡したのは3枚のマスクだった。 それぞれの手がマスクを受け取る。 「付けてくれるかな?」 3人はマスクをしようとした、が、ソラだけが、ハッと何かに気づいたのか付けなかった。 「どうした?ソラ」 「う、ううん...」 慌てて、ソラもマスクを付けた。 ほくろもわからなくなり、うーん、と腕を組み、恭一が3人を眺めて唸る。 「マスクしてたら本当、わかんないね」 「一卵性の3つ子ですから」 マスク越しにカイが言う。 「....あの時の子猫、実は死んだんだ」 「嘘!」 神妙な面持ちの恭一の声に即座に反応したのはソラだった。 リクとカイはマスクを外し、ソラを見た。 「....死んじゃったんですか?あの子猫」 ソラは今にも泣きそうだ。 長い沈黙と重い空気。 「ソラもマスク、外しなよ」 恭一に言われ、ソラもマスクを外した。 「嘘だよ、うちで元気にしてる。だいぶ、大きくなったよ」 たちまち、ソラが満面の笑顔になった。 「よかった!」 「どういうこと?ソラ」 ソラはゆっくり2人に説明を始めた。

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