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第21話

「少し風が出てきたな」 夕方近く、晴天の下、恭一が空を見上げながら独り言。 リクとカイも腕を摩り、ソラに至っては正座に拳を置き、ぷるぷる小さく震えています。 恭一は立ち上がり移動すると、長袖のトップスの上に着ていたパーカーをソラの肩に掛けてあげました。 びっくりしたソラは恭一を見上げます。 「ソラばっか、ずるいー、俺にもー」 カイが珍しく拗ね、恭一が困った様子。 見かねたリクが、 「ほら」 と自分の薄手のアウターをカイに掛けてあげました。 「あ、ありがとう...」 リクの思いがけない優しさにカイもびっくりしつつも少し照れた様子です。 「そろそろお開きにするか」 恭一が言い、リクとカイ、ソラは目に焼き付けるように近くの桜の木を見上げました。

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