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第29話
リクと瞬は元々、友人として、とても仲は良かった。だが、突然、やたら馴れ馴れしくなった瞬を訝しんだ。
「あ、あんまくっつくなよ」
「いいじゃん、今更」
訳わかんね...とリクは瞬を見る。
リクはたまに瞬の家に遊びに行っていた。
勉強することもあれば、漫画を読んだり、たまに貸してもらって帰ったり。
「今日、うち来ない?リク」
「行く行く。あ、借りてた漫画、持ってきてないや」
「いいよ、やる」
「へ?いいよ。読み終わったし。返すよ」
「いいって、まぢ。それより早くうち行こうぜ」
「おう!」
まさか、親友の瞬が自分の事が好きで、自分と勘違いし、カイに告白し、カイが瞬を食っちゃった。
なんて知る由もなく、いつも通り、瞬の家へ。
「お邪魔します」
「あら、リクくん、いらっしゃい」
顔なじみのお母さんが明るく声をかけてくれ、頭を下げると、瞬を追い、2階の瞬の部屋へ。
「おっ!最新巻!」
ベッドの下に散らばった漫画本が真っ先に目に入り、飛びついた。
「読んでい?」
「もちろん」
瞬の優しい笑みにベッドにもたれて、リクは最新巻のコミックをパラパラ。
真剣に読んでいると、瞬が漫画を覗き込んでくる。
「...近くね?」
額がくっつきそうな距離にある、瞬の顔。
ふと、視線が合った。
「なに?」
いきなり、唇と唇が重なった。
びっくりしたリクの目は開いたままだ。
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