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第31話

次の日の放課後。リクは瞬を校舎裏に呼び出した。 瞬がリクだと思ったカイに告り、セックスしてしまった場所だ。 「どうした?リク」 瞬は嬉しそうにリクに微笑み、リクは表情が乏しい。 先日のソラのようにカイとソラは物陰に隠れて2人の様子を伺った。 「この間はごめん。瞬のことは好きだ」 瞬が再び嬉しそうに微笑む。 「だけど、友達として好きだ。それ以上の気持ちはない」 立たずを飲んで見守るカイとソラ。 毅然としたリクの言葉や表情から目が離せない。 「だったらこないだはどういうことだよ。俺とここでやっただろ。セックス」 「ごめん。本気じゃなかった。溜まってたからさ」 カイとソラが唖然となった。 途端、リクのネクタイを瞬が掴み、怒声を上げた。 「なんだよ、それ!俺、勇気、振り絞って、お前に告ったのに!」 「ごめん。好きな人がいる」 途端、パン!と激しくリクの頬を瞬が叩いた。 瞬はリクのネクタイを掴んだまま、涙目だ。 「...遊びだったのかよ」 「...」 リクはただ、無言で瞬の瞳を見つめ返すしか出来なかった。 「もういいよ!じゃあな、リク」 踵を返し、瞬は去り、呆然とリクは立ち尽くしている。 慌てて、カイとソラがリクのもとへと向かった。 リクも真顔ながら、頬から涙が伝っていた。 「...親友だったんだ」 か細いリクの声に、ソラはもらい泣きし、声を堪えて、手の甲で瞼を拭いた。 カイは、しばらく無言のあと、 「...俺だった、て言えば良かったのに。俺がリクのフリをしたんだって...」 「そうしたら、お前が悪者になるだろ」 カイ、ソラと同じ可愛らしい風貌ながら、 リクの男らしい優しさにカイも気づき、ごめん、と謝りながら、涙が溢れた。 「大丈夫。ほら、ケーキでも買って帰ってさ、気分、取り直そ!」 鼻を啜ったあと、リクは敢えて明るくつとめ、2人の背中を優しく叩き、3人は校舎裏を後にした。

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