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第32話

その後、リクは至って明るい。明るすぎるくらいに。 リクは瞬に話しかけても、無視され続けていた。 カイやソラに心配を掛けないため、親友の瞬を失った2つのショックを打ち払うようにリクは無意識に明るく務めていた。 「母さんのこの肉じゃが、いつにも増して美味しいね!母さん、腕あげた?」 家族5人で食卓を囲んでいる。 「リクったら、お小遣い上げて欲しいの?」 お母さんはそう言いつつも嬉しそうだ。 そんなリクをカイとソラは見つめながら、ごはんを食べた。 リクがお風呂の間、リクとカイは2人でこっそり話し合った。 「...リク、かなり無理してるよね」 ソラが運動座りでぽつり。 「...俺のせいだ」 カイも同じようにベッドの上で運動座りし、反省した。 ソラは気分転換に恭一のバイトするコンビニに向かった。 夜風が気持ちよく散歩がてらにちょうどいい。 「いらっしゃいませー」 ソラに恭一は即座に気がついた。 俯き、心無しか元気がないソラ。 「どうした?ソラ。元気ないな」 ソラは無言で俯いたままだ。 「もう少しでバイト終わるから。雑誌でも読んで待ってて」 うん、と小さくソラは頷いた。

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