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第53話

肌が炎症しかねないカイを浜辺に放置して遊ぶ訳にも行かず、4人は再び恭一の運転で帰路についていました。 「まだ夏はまだまだあるんだから、また泳ぎにこよ!」 泳ぎ足りないのか、来た時より元気のないカイにリクが励ますように優しく声をかけました。 「うん!クジラが出るまで泳げるもんね!」 ソラの一言に一同、 「クジラ...?」 「あ!ち、違う、クラゲ!クラゲ!間違えた」 取り繕うソラの顔は恥ずかしさで真っ赤です。 一瞬の間が空いたあと、ソラを除いた3人は車内で大爆笑。 「クジラが出るまでな、うんうん」 リクがニヤニヤしながら言うと、 「ま、間違えただけだよ」 ソラの言い間違えのお陰もあり、カイにも笑顔が戻りました。 まだ夏は始まったばかりです。 ◇ 「水膨れになんないといいね」 自宅に戻ったリクとカイ、ソラ。 トランクス一枚になった、カイの真っ赤になった肌にリクとソラが手分けして軟膏を塗ります。 「痛む?」 「少し...」 軟膏を背中に塗るソラに尋ねられ、呟くように答えます。 (....さっきは大輝に塗られてドキドキしたのにドキドキしない....) 「優しくするからちょっと我慢してね」 2人に軟膏を塗って貰いながら、カイは不意に大輝のその優しい声を思い出していました。

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