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第54話

夏祭り前日。 去年までは3人は甚平でしたが、今年は高校最後の夏休みともあり、両親が奮発してくれ、3人は薄いグレーの浴衣です。 ベッドの上で同じ浴衣を纏った3人。 「どう!?似合う?」 「俺はどう!?」 3人は一卵性の3つ子で、顔のほくろの位置や有無以外は同じ見た目なのですが、3人はそれすら忘れて大はしゃぎです。 お財布とスマホを巾着に入れ、下駄を履くと、 「行ってきまーす!」 3人は揃って自宅に残ると言う両親に元気よく挨拶です。 近くの神社で行なわれるのですが、それは凄い人だかり。 「やあ、3つ子ちゃん」 「こんばんは、3つ子ちゃん」 幼い頃から3人を知る、近所のおじちゃん、おばちゃんが優しく声を掛けてきます。 ソラはリクの後ろに隠れていますが、 「こんばんは!」 リクとカイは元気よく挨拶に応えながら、出店へと向かいました。 普段なら参拝への道沿いにはたくさんの色んな出店が並んでいます。 最後は花火で締めくくられますが、それはもう3人とも目がキラキラです。 人だかりの中、はぐれないように、ソラはリクの裾を引っ張ります。 「リク!」 何処からか呼ばれ、3人は全員同時に振り返りました。 背の高い、リクの親友、瞬です。 Tシャツにデニムの長い脚。 「お前も来てたんだ」 瞬はリクの前に立ち、リクを見下ろし笑顔を浮かべました。

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