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第65話

その頃のソラは、恭一の部屋で浴衣姿のまま、恭一と助けた子猫とじゃれ合い、遊んでいた。 人見知りだった猫はすっかりソラに懐いている。 「ねえ、恭一さん。この子の名前、なに?ずっと聞こうと思ってたのに、いつも忘れてた」 「...ソラ」 「...え?」 「...お前に、ソラによく似てるから、お前を知って、それからソラにした」 恥ずかしそうにソラを見る。 ソラは自分を見上げる子猫を眺めた後、顔を赤く染めた。 「じゃ、じゃあ、僕がいないとき、この子のこと、...ソラ、てよ、呼んでるの?」 「...そうなる」 恭一は子猫を膝に抱いたソラごと、後ろから優しく抱きしめた。 「好きだよ、ソラ」 「...どっちのソラ?」 真っ赤になったまま、ソラが聞くと、 「どっちのソラも」 恭一は後ろから優しく赤く染まったほっぺにキスをした。

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