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第73話

リクは次第に部屋を空けがちになった。 カイはソラに、リクは友達が多いから、と説明した。 リクは愛嬌があるし友人が多いのはソラも知ってはいるので、とりあえずは納得したが、心無しか寂しいのはカイには伏せた。 カイはリクは多分、瞬と一緒だろう、と思った。 リクと瞬はあの日を境に交際を始めていた。 しばらくはセックスに耽る日々だった。 カイは1人、気晴らしに散歩に出た。 恭一のバイトするコンビニでなにか買おうか、と近づいてすぐ、見覚えのある姿に目を疑った。 女の子と一緒の大輝だった。 大輝もカイの視線に気づき、近づいてきた。 「うわ、びっくり!海の時の!」 女の子を連れた大輝が笑顔を見せた。 「....彼女?」 隣にいる小柄な可愛らしい女の子を見て、カイが呟いた。 「まさか!妹!」 そう言うと大輝は太陽のように眩しい笑顔を見せた。 確かに妹の話しを聞いていたカイはホッとしていた。 「お兄ちゃんのお友達!?凄い!王子様みたい!」 「お、王子様...?」 「肌もツヤツヤだし、髪も綺麗、瞳も茶色くって」 嬉しそうにまくしたてる。 「美和、困ってるだろ?」 カイと大輝は再会を果たし、ようやく、連絡先を交換するまでに至った。 コンビニを出る2人と入るカイは笑顔で手を振り、別れた。

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