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第77話
カイにも思いがけない機会が訪れた。
大輝から、近々会えない?とのLINEが来たのだ。
ある日の夕食後、カイは待ち合わせの恭一のバイトするコンビニの前、10分前には着いて大輝を待っていた。
「カイ!」
大きく手を振る背の高い爽やかな笑顔。
「大輝」
自然とカイも笑顔になった。
ふと、大輝の手元を見ると、茶色い紙袋。
「あ、これ...」
大輝が紙袋ごとカイに手渡した。
「不味くないといいんだけど...シュークリーム」
大輝は苦笑したが、カイの瞳はキラキラになった。
何が好きか、ずっとLINEで聞かれ、カイもまた大輝に聞いたり、そんな繰り返しだった。
「...もしかして、手作り...?」
カイが手元の袋を見たままで呟いた。
「ま、まあ、そんなとこ、不味かったら捨てていいから」
カイはぶん、と首を横に振り、
「ありがとう」
と笑顔を見せた。
「...もしかして、これを渡しに...?」
「うん...」
2人はそうして別れた。
嬉しさのあまり、カイは早速、紙袋から箱を取り出すと、3つのシュークリーム。
かぶりついたカイが少し顔をしかめる。
料理、お菓子作りも好きで得意なカイは砂糖が足りないことやホイップクリームの出来の悪さ、生地がパサついている事に気がついたのだ。
(...まあ、大輝が頑張って作ってくれたんだし)
食べれない程ではなかったのでカイは大輝からのシュークリームを頂いた。
大輝から再度、連絡が来たのは2日後だった。
カイはドキドキしながら、またしても待ち合わせしたコンビニの前に向かうと、既に大輝は着いていた。
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