70 / 77

第79話

3人部屋でカイは1人、膝を抱えています。 リクは瞬と、ソラは恭一と、それぞれLINE中です。 大輝からLINEが来てはいましたが、カイはシカトしていました。 大輝には好きな人がいるとは知らず、ぬか喜びした自分が馬鹿みたいに思えました。 「あっ、カイ、次の日曜、空けとけよ」 不意にスマホを手にしたリクが言います。 「次の日曜?なんで」 「例の高校とさ、瞬のサッカー部が練習試合なんだって」 「だからなに」 その後の展開を知らないリクがカイに近寄り、耳元で囁きます。 「カイが気になるそいつも来るかもじゃん」 「別いいし」 「なんで?なんかあった?」 「別になんもないよ」 「だったらいいじゃん、一緒に行こうぜ」 「なに?なんの話し?」 手にしたスマホから目を離し、ソラが尋ねてきます。 「瞬、サッカー部じゃん。練習試合あるから見に行こうと思って。ソラも行く?」 リクが尋ねます。 「いつ?」 「来週の日曜」 ソラはうーん、と唸りました。 「行きたいけど、恭一さんと約束してる」 「じゃあ、2人で行こうぜ、な、カイ」 リクがカイの肩を抱きます。 「ま、暇つぶしにでも付き合うよ」 そうして、日曜日。 リクの姿を見つけると、ユニフォーム姿の瞬が手を振ります。 試合は残念ながら、大輝の高校が僅差で勝ち、瞬の高校は敗北。 試合が終わると、瞬は一目散で瞬の元に駆け寄ります。 「お疲れ様、瞬」 リクがタオルを手渡すと、 「サンキュ」 と瞬は笑顔。 リクの隣で佇むカイを見るなり、笑顔が消え、普段通りの無表情な瞬に戻りました。 「お前も来てたのか、アバズレ」 「失礼な」 互いに睨み合いです。

ともだちにシェアしよう!