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第3話
料理が得意なユウは帰宅すると野菜と海老を入れたペペロンチーノを作り、ダイチと2人でビールを飲んだ。
「やっぱり美味い。お前、運送業なんて辞めてシェフになれよ」
「なに褒めてんの、さっきは怒鳴り散らしてた癖に」
ユウがせせら笑う。
「それに。シェフになったらバンド辞めなきゃじゃん」
「それもそうだな」
洗い物はダイチがしてくれた。
ダイチには恥ずかしくて話してはいないが、ユウはいつかダイチと結婚したい、パートナーシップ性制度でいい。
本当は海外で同性婚したいけど。
シングルの狭いベッドに2人、くっ付けれる狭さがユウは好きだ。今日で4人目の相手になるがユウにとっては1人目の相手だと思っている。
「あっ、あっ...気持ちいい...っ、好きだよ、ダイチ!」
ユウはダイチの背中を抱き、夢中で喘いだ。
「俺も好き、ユウ、たまんね」
対面座位で、ダイチがユウの唇と舌を貪った。
ずっとこうして2人で過ごしていきたい、このままで....。
本当のユウの一番の願い。
(ダイチのそばにいたい...ずっとずっと、これからもずっと)
2人は汗だくになりながら互いの体で満たされ、いつの間にか眠りについた。
たまに売り専で抱かれ、スタジオ練習。
それ以外の時間、2人はいつも一緒だ。
食べ物や服の好みも殆ど同じで、歳も同じく22歳。
髪の色はユウは黒髪で、ダイチはアッシュを入れているが、背格好も殆ど変わらない、所謂、モデル体型。
ユウはダイチを運命の人だと感じている。
ダイチも同じくだった。
ライブ当日。
チケットは悲しいかな、対バンの、Doubt 目当てでかなりチケットが捌けた。
トリが Doubt 、その前が、ユウがボーカル、ダイチがギターを務める、Black Angel 。
なんとか、トリのDoubt より、目立ちたい。
互いに人気のバンドではあったが、僅差で Doubt が勝っていた。
ライブはとりあえずは無事に終了し、ユウやダイチたち、Black Angel は打ち上げの為、バンド仲間やらファンを引き連れて居酒屋に来た。
「あれ?ミヤビじゃないか」
カウンターで酒を飲む年配の男にユウは引き止められ、その名前にドキッとし、足を止めた。
「こんなところで会うとはな。一緒に飲まないか、ミヤビ」
男はだいぶ酔っている様子だ。
ユウの周りにはメンバーやファンたちがいる。そして、彼氏であるダイチも。
「...人違いじゃないですか」
通り過ぎようとしたら、腕を掴まれた。
「なにすんすか、おっさん」
ユウが冷たくあしらうと、
「飲みすぎじゃないですか?行こう、ユウ」
ダイチが肩を抱き、歩き出した。
「誰だよ、ミヤビ、て。なあ?」
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