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episode2 朝陽②-2

   ◇ 朝陽(あさひ) ②-2 ◇  年内は仕事が詰まっていたけれど、短い時間でも構わないから会いたくて塁の部屋を数回訪れた。  紅白歌合戦が緊張しちゃうと言う朝陽を、「がんばれ」と塁はそっと抱きしめた。  元旦はお互い実家に帰ることにしたけれど、泊まらずに戻りその日の夜には会うことにした。年内に撮りだめした分、正月はけっこうテレビに出ているわりに休めるのだ。朝陽の仕事始めは年明けの四日からだった。塁の予定も自主トレだけだ。 「あけましておめでとう」  一日(ついたち)の夜、塁がマンションまで迎えに来てくれてそのまま塁の部屋へ行った。三日の夕方まで泊まる約束をしているので朝陽の荷物は多かった。 「疲れたでしょ」 「疲れてないよ。実家でダラダラしてただけだもん」 「朝陽くんは大晦日まで大仕事だったから」  ふたりとも風呂から出て塁の大きなベッドでごろごろとしている。  動揺なんてしていないという芝居をしてしまう癖がある。本当はドキドキしてたまらないのに。これからエッチをするのだろうか。恋人がこうして同じベッドにいるんだもんな、するよな。うわ、細マッチョ、……萌える。  視界に影ができる。仰向けで寝ている朝陽の上から塁が見下ろしているのだ。 「塁さ……、んっ」  唇をふさがれた。やがて舌も触れてさすがに戸惑う。塁のキスは首筋に下りていき、そのあとゆっくりと時間をかけて耳の辺りに辿りついた。  頭を抱え込まれたまま耳たぶや耳の裏にキスされる。  ――あ、俺にあんまり体重がかからないようにしてくれてる。  その優しさと情熱的なキスの振れ幅を感じて、まだ始まったばかりなのに「もうだめ」と思っている。 「好きだよ、朝陽」  ああ、だめだ。ずるいよ、こんな場面で呼び捨てなんて。  正直どうしたらいいのかわからないけれど、無意識に塁の背中にぎゅっとしがみついていた。  スウェットがたくし上げられて、塁の手が脇腹から胸の辺りを直接触れてくる。意図を()んで少し腕を伸ばすと、さっと脱がされた。 「朝陽、……好きだよ」  左右の胸を交互に()められ、「んっ」と声が出てしまう。  下のスウェットはまだ脱がされていなくて、その上から(たか)ぶった欲情をそっとこすられる。塁は段々と下にずれていって、服越しだけれど口で(もてあそ)ばれた。 「あ、……ぁ」  ――え、嘘だ。いつの間に。  気持ちいいと思っていたら、塁は直接、朝陽の欲情を口にふくんでいた。舐められ(くわ)えられ側面を()まれて。 「朝陽、いきたい? それとももう少しできる?」  えっと、できるとは、なにが? わからなかったけれど、こくんと何度もうなずいた。 「嫌だったり痛かったらちゃんと言うんだよ。途中でやめるから」  とろり、と液体が垂れてきた。塁がイッたのかと思ったらローションを垂らされていた。  少しずつ少しずつ塁の指が入ってくる。まだ浅いところを行ったり来たり。 「朝陽、大丈夫?」 「うん」  塁は時間をかけて丁寧にほぐした。 「あ、……あ、んんっ」  朝陽が声を出すと、痛くないかと心配する。 「んんっ、塁さん、……キス、して」  塁が(おお)(かぶ)さる体勢でキスをしてくる。キスをしながら朝陽の足をぐいっと折り曲げる。 「朝陽が好きで、もうたまらない」  指じゃない。もっと大きな塁の欲情があてがわれた。 「痛かったら言うんだよ」 「うん……、んっ」  塁を受け入れたい。 「力抜いて、ふーって息吐いて」  言われた通りにすると隙間めいっぱいに塁が()いってきた。  大丈夫かと訊かれ、こくんこくんとうなずく。 「大丈夫だよ。慣れるまでこのまま動かないから」  左手は朝陽の膝裏を押さえ、右手で髪を優しく()いてくれた。 「朝陽……」 「塁さん、……好き」  塁が小刻みに動き出した。 「んっ、んっ、あぁ、んんっ」  朝陽の様子を見てあまり激しくはしない。その優しさが嬉しいのと、この人にめちゃくちゃにされたいという気持ちが混在する。  規則正しい動きで、でも優しく突かれる。 「あっ、あっ、あぁ……」  塁の腹部にこすられイッてしまいそうになる。上体がかぶさってもっと強くこすられると朝陽はもう限界だった。 「あ、……いっちゃ、う」  しがみつく。塁の首に腕をまわして腰を振った。 「ああ、……いく」  重なるふたりの間に朝陽の精液が飛び散る。 「んっ」  そんな塁の短いうめきが聞こえ、塁も放ったことがわかった。塁は朝陽の中に射精した。

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