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episode4 朝陽④-1
◇ 朝陽 ④-1 ◇
試合に勝った日の塁 のエッチは少しだけ激しい。朝陽 はそれに最近気付いた。自宅でひとり、塁の試合をBS放送で見ていた。塁のチームが勝ち、今夜のことを想像して赤くなる。この自宅というのは以前の部屋ではない。少し前に引っ越したのだ。
持っている人は違うな、と心底思った。「いずれ同じマンションに」と塁から言われたすぐあと、塁の部屋の向かいに住んでいた社長夫妻が引っ越した。そして朝陽はそこへ越してきた。
塁が言った通り、ふたりは「仲の良い友達」をちょこちょこと公言している。朝陽のほうがテレビ、ラジオ、雑誌と情報を発信する場面が多いが、塁もよく取材される選手なのでそういう時にさりげなく言っている。
――芸能人の友達っていったらラヴィアン・ローズの朝陽くんですかねぇ。
この間は、同じマンションに住んでいるという噂 は本当かと訊かれていた。
――それ、もしイエスでもアイドルの個人情報言えないでしょう! でも、なんかアイドルの人ってちょくちょく引っ越すらしいから、良いマンションだよってお勧めしたことはありますよ。え? ちょくちょく引っ越しって? それはあなたたちが猛烈に張り込むからでしょう! まあでも、それも仕事ですもんね。
それから飲み会の帰りにわざと女子アナと写真を撮られたりしている。「大通りでタクシー拾ってあげる」と言って無防備にふたりきりで歩いているらしい。
塁によると、朝陽とのことは書かれなくなり――友達と言われたらネタとしておもしろくないらしい――女子アナをとっかえひっかえの記事のほうが需要があるそうだ。
塁と朝陽についてのネットの反応も教えてもらった。「スター同士が親友とかエモい」といった感じらしい。中には「できてるんじゃないの」という書き込みをする人もいるが、すぐに塁と女子アナの写真がアップされるそうだ。
おそらく塁の作戦はうまくいっている。朝陽は塁に守られた。
エレベーターホールが静まり返っていることを確認して、自分の部屋から塁の部屋へと移動する。合鍵で玄関を開け、塁が帰ってくるのを待つ。
二十三時過ぎに塁は帰宅した。玄関に出迎えるとシャンプーの香りがする。「おかえりなさい」を最後まで聞かずにその場で抱きしめられキスで口をふさがれる。寝室の前の廊下で朝陽は壁に背をつけ塁のキスを受け止める。このままここでシちゃうの? と思うくらい塁は朝陽を離さない。廊下なのに朝陽の服を本当に脱がし始める。さすがに「ここ、廊下」と訴える。塁は朝陽を軽々と抱えて寝室へと入っていった。
塁も自分の服を次々と脱ぐ。スラリとしているのに、そこはやっぱりプロのスポーツ選手。筋肉がすごい。
塁の手は朝陽の下半身――前もうしろも――を攻め始めたけれどキスが続く。酸素が足りないのか、それとも興奮からかお互い呼吸が荒い。それでも塁はキスをやめない。
絡めた舌から唾液が垂れる。それも気にせず塁は朝陽の唇を求める。そうしているうちに朝陽のうしろはもうグズグズだ。
「はぁ、あ、……んっ」
塁の欲情が挿入された。朝陽は裸の背中に腕をまわす。
――ホント、すごい筋肉。
手で背筋 を触っていると塁の下半身は律動を始める。
「あ、……すごい、かたい」
背中をさすりながら朝陽がそう言うと塁の動きが止まった。中で塁のものがびくっとしたのがわかったからイッたのかと思ったがそうではないみたいだ。
「朝陽……、そんなエロいこと言うようになったの?」
「え? あっ、ち、違う、背中の筋肉が」
「え、ああ、なんだ」
「えっ、でも、違くないけど……」
塁は笑ってまた律動が始まる。さっきよりもちょっと激しい。
「んっ、んっ、あっ、あぁ」
上機嫌でいつもより少し激しく朝陽の中で暴れる。
「あ、……いく」
朝陽が吐き出すのと同時に塁も放って、荒い呼吸のキスをすると塁は朝陽の横にごろんと寝転がった。
「塁さん、今日も激しかったね」
返事がないので塁を見ると、スウスウと眠っている。
「お疲れ様。今日もかっこよかった」
朝陽は塁の髪を梳 いて、寝ている塁にタオルケットをかける。
そのまま隣で眠ろうと思ったけれど塁が放ったものが大量だったことが感じられ朝陽はシャワーを浴びにバスルームへ行った。
「わ! びっくりした」
シャワーを浴びていると突然ドアが開いて塁が入ってきた。
「洗ってあげる」
腰かけた塁の上に座ってと手で合図され、「どっち向き?」と訊く。
「朝陽くんの好きなほうで」
「んー、じゃあ」
塁をまたぐ恰好 で向き合い座る。
「あれ、意外にもこっちか」
「だって顔見たいし」
ボディーソープをつけた手で塁が洗ってくれる。朝陽も同じように塁の身体を洗う。
お互い触れているとどちらも勃起してきて、向き合うふたりの欲情は勃 ち上がり裏同士が触れ合う。どちらともなくこすり合う。
上に座っている分、朝陽の方が少しだけ目線が高い体勢だ。飽きることなくキスをする。何度も何度もキスをする。
「朝陽、……好きだよ」
「塁さん、好き……」
ふたりはドクドクと愛しさを放出した。
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