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第11話「ユキの愚行」
「友梨ちゃんと何話してたの?」
窓辺の席に戻ると智幸が椅子に座るのを見計らって光瑠は声を掛けた。
途端に、冷たくて鋭い視線がこちらを向く。
「あ?」
今日は由依や原田はいない。青木も山中も置いて来た。久々に2人で街で可愛い女の子2人をナンパしてファミレスに入り、楽しくおしゃべりをしようとしていた彼らは、店に入ってすぐに賑やかな別の高校生の集まりを見つけ、その中に晴也と友梨がいる事を認めた。
チッ、と舌打ちする智幸と違い、先日の一件で連絡先も交換して晴也と仲良くなった光瑠は彼らに堂々と近づいて話をして、智幸の声でナンパした女の子達が通された席に戻ってきた。
「さっきドリンクバーのとこで話してたろ?」
スリ、と隣に座っている女の子の短いスカート裾を持ち上げ、白くてムチムチとはりのある太ももへ直接触れて撫でる。
「ッ、!」
窓側の席の窓側に女の子達を座らせている彼らの動きは、側から見ると彼らの身体が邪魔で何をしているのか分からなかった。
光瑠のゴツゴツとした大きな手で太ももを撫でられると、彼らの容姿の良さに引かれてほいほいとついて来てしまった女子高生はビクビクと体を震わせる。
(あ?これ処女かな)
強張った身体の緊張を感じ、光瑠は智幸に目配せをした。
別段、処女だろうとなかろうと彼らは捕まえた女の子に手を出すのだが、お互い気分で「処女が良いとき」と「面倒だから処女じゃないのが良いとき」と言うのがあった。念の為、毎回お互い多分処女、多分処女じゃない、と予想がついたら伝え合うようにしていた。
「あいつに変な事されたら連絡しろって言った」
(嘘っぽ)
無表情に言う智幸の言葉に光瑠は苦笑いして返す。
テーブルの上には晴也達と同じようにフライドポテトの皿が乗っていた。
「あっ、」
「っ、、ゆ、ユミ?どうしたの?」
「ううん、なんでも、ない」
どうしたの?
なんて冗談じゃない。智幸の隣に座っている彼女からすれば、光瑠が今隣の女の子に何をしているかなんて見ていれば分かるだろう。
テーブルの下だからとは言え、スカートの中に手を入れられ、パンツ越しに股の割れ目をスリスリと撫でられているのだ。
「っ、、、っん、、」
いやらしい吐息が彼女から漏れるたび、智幸の隣にいるポニーテールをした少女は目の前の友人の色っぽい表情を見つめて生唾を飲み込む。
彼女よりかは少しは男慣れしている少女は智幸に寄り掛かるのをやめ、少し体を離して目の前の友人の痴態をまじまじと観察し始めていた。
「お前もする?」
「え、アッ」
細くて白い太ももを、知らない大きな男の手が這う。
周りの客の視線を見回してから、少女もその愚行に手を出してしまいたくなって、拒絶できずに体を震わせた。
「ぁ、やっ」
光瑠と違い、智幸は女の子に触れる力の加減がいまいち分からない。
少し強い力で、彼の太い指がポニーテールの少女の脚の間の割れ目を、布越しにゆっくりと形を確かめるようになぞった。
「あっ」
漏らす声は小さなもので、騒がしい店内の音や声に掻き消される。
智幸は思わぬ遭遇で得た収穫に満足していた。
それは、ナンパに引っかかった彼女達がどうこうと言う話ではなく、晴也と共にこの店に来ていた友梨の連絡先が分かった事だ。
「ミクちゃん」
低い声が少女の耳元で囁く。
「お店出ない?」
普段の智幸は黙り込んで不機嫌でいる事が多い。面倒であまり話すのが好きではない彼からすればそれは当たり前の姿だった。
けれどこう言った女の子との時間では彼は強引で獣っぽく、いち早くセックスに持ち込める状況を作る為に少し紳士的に豹変するのだ。
「う、うん」
ミクとユミと呼ばれた2人は顔を見合わせてから静かに頷いた。
智幸と光瑠はパッと彼女達から手を放し、残り少ないポテトを光瑠が食べつつ、智幸は会計をしにレジに向かい、さっさと全員分の支払いを済ませてしまった。
「行こっか」
光瑠にだけは後で請求が来るが、彼自身本来なら皆方高校に通う訳もないような良家の出なのでお金の事は気にも留めない。
お互い隣に座っていた女の子と手を繋いで店の出入り口に向かった。
その後ろ姿を友梨は少し寂しそうに眺めている。
(智幸くんて、彼女何人もいるのかな)
友梨が見つめる先を、無論晴也もチラリと見つめた。
何かしら察したような表情をしつつも、晴也の心がそれでざわめく事はない。
「、、、」
すぐさまどうでも良くなり、また猪田と御手洗、秋津と最近発売されたゲームの話しに戻った。
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